古着の貫禄に肩を並べる、ポストオーバーオールズのセルフ復刻シリーズこそいまの気分!

  • 文:高橋一史

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昨年度よりさらに身幅を広げた復刻ジャケットと、新デザインのイージーパンツ。ともにヘリンボーンツイル生地を使用。ジャケット ¥44,000(税込)、パンツ ¥29,700(税込)

ニューノーマルの生活様式が広がるにつれ、ファッションの消費行動も大きく変わってきている。流行や話題は後回しにして、本当に必要で長く愛用できるものを吟味して買う発想への転換。こうしたパーソナルな買い物には、信頼できるブランド選びも大切なポイントになる。軸をぶらさずに良質なモノづくりを行うブランドこそ、いまもっとも必要とされる存在だろう。

ここに掲載するポストオーバーオールズも、30年近く一貫したスタイルを続ける地に足のついたブランドだ。デザイナーの大淵毅がニューヨークで設立し、2019年にアトリエを日本に移すまでアメリカをベースに活動してきた。同年に東京に設けた初の直営店は、最寄り駅が京王線で新宿から9駅の八幡山というローカルさ。アトリエを併設する場所であり、こうしたマイペースなやり方が同ブランドのスタンスをよく物語っている。

歴史的なミリタリーウエアやワークウエアに習った作風の彼らがこの2021年春夏に展開するのが、設立当初のオリジナルデザインで復刻させたシリーズだ。1940年代以前のビンテージと見間違うほど完成度の高いアイテムを定番的につくってきたポストオーバーオールズだが、単なる歴史の再現でなく、そのときどきのファッション傾向に合うアレンジを施してきた。いまの主流であるゆったりとした形には、以前のバランスがちょうどいい。その考えでセルフ復刻したのが今回のアイテム群だ。

展開アイテムは、エンジニアジャケット(カバーオール)とアーミーシャツの2型。ともにインディゴ染めの生地で、ストライプ(ヘリンボーンツイル)と無地(デニム)を用意している。さらにこれらのトップスと相性がいいビッグシルエットのイージーパンツも新たにラインナップに加え、3ピースのセットアップコーデを提案。サイズはすべてS〜XLの4サイズだ。

全3型は時代の歯車にがっちりと噛み合いつつ、永遠のスタンダードとしての価値も兼ね備えている。オフィスワークが減り仕事着が自由になり、好きな服を着て毎日を過ごせるいまこそ手に入れたいアイテムだ。

さまざまな年代のワークウエアがミックスされたオリジナルデザイン。古い時代のワークウエアらしさを漂わせるドーナツボタンはブランドネームの刻印入り。

アメリカ軍のクルーや戦争捕虜が着たプルオーバーシャツは、状態のいい古着なら10万円を越える貴重品。着ると横に広がる平坦な形が現代的なワードローブにフィットする。¥35,200(税込)

2個のボタンの留め方で袖口の幅を調整するのが、このアーミーシャツの特徴。カフスがなく長袖Tシャツのようなムードがあり、袖をまくりやすいため暑い季節でも着やすいのもメリット。

ブランド初のたっぷりとしたイージーパンツが新登場。ドローストラップつきのゴム入りウエストでベルト要らずで穿ける便利な一本だ。¥29,700(税込)

ヒップにはポケットがなく、プリーツを押さえる役割を兼ねたクラシカルなバックベルトがアクセント。家の内外で気楽に過ごしたいときにぴったりな、パジャマパンツ風のデザインである。

3点を組み合わせて着たスタイル。洗い加工済みの風合いがこなれた着こなしを生む。

問い合わせ先/ポストオーバーオールズ

TEL:03-5942-1545
https://postoveralls.com