注目の日本画家・阪本トクロウ、岩田壮平、田中武が競演する『如月の鼎展』へ!

  • 文:Pen編集部

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阪本トクロウ『地図』 116.7×65.3cm 麻紙、アクリル絵具

若手作家を中心に、質の高いアートを取り扱ってきた画廊くにまつ青山にて、2月20日(土)より『如月の鼎(かなえ)展』が開催される。7回目となる今回は、多くのコレクターが関心を寄せる日本画家3人が参加。それぞれが新作を2点ずつ発表する予定だ。

 

上の作品は、阪本トクロウの『地図』。さまざまなかたちの白い塊が、つながっていたり、割れていたり――その合間から青色がのぞく。無造作に描かれているようにも見えるが、白い塊の着色はどこも均一だ。遠くから眺めると、雲のようにも見えるし、流氷のようにも見える。阪本曰く、これらは飛行機に乗っている時に眺めた地表の模様だという。

阪本は、自ら撮影した街の風景や身近なものの写真をトレースして描く。人の気配や時間の経過を感じさせる要素を排し、均一な質感で淡々と表現するのが特徴だ。見たことがあるような光景でも、阪本が描くとモチーフの色や形が備える美しさに気付かされるだろう。

阪本トクロウは現在、故郷である山梨県にアトリエを構えている。自身の作品について阪本は「空っぽになれるような状態(中空)を目指している」と語る。

同じ「日本画」を出発点としながら、3人それぞれが新たな表現を模索する。

岩田壮平『flower』 90.9×60.6cm 麻紙、岩絵具

板の上に座り、制作中の岩田壮平。花や鯉をおもなモチーフとし、鮮烈な色彩と大胆なデフォルメが特徴だ。2020年に画集『cycle』を刊行した。

岩田壮平の『flower』は、青い背景から浮かび上がる赤い花が圧巻だ。目一杯に開く花弁は堂々としており、風格が感じられる。花の周りでは金粉が花粉のように舞い、下に降り積もっている。ほんのりと輝くさまは神々しい。

これまでにも、花を主役とした作品を数多く描いてきた岩田。背景の色や額縁までこだわり、赤い花が咲き誇る様子を演出している。幼い頃から華道を学び花と対峙して培ってきた感性と、やわらかさと力強さを内包する筆致によって、花のみなぎる生命力が存分に表現されている作品だ。

田中武『湯に包まれて』 90.9×72.7cm 麻紙、アクリル絵具

2012年、日本橋タカシマヤで開催した初個展で話題を呼んだ田中武。20年にYouTubeチャンネルを開設し、鉛筆や筆の音を集めたASMR動画を公開している。

人間や動物の大胆なポージングや、モチーフ同士の意外な組み合わせで、独創的な作品を発表してきた田中武。しかし、新作『湯に包まれて』は、過去の作品に比べて少し落ち着いた印象だ。リラックスして湯に浸かる女性を描いている。

田中は、真偽不明の情報が蔓延するコロナ渦の社会を憂い、あえてこのモチーフを選んだという。混乱に巻き込まれていない普段通りの生活を描くことで、情報の渦から少し離れてみようとする想いを込めたそうだ。

 

「日本画」とは、明治期に油彩画の制作が広まる中、古くからある日本の絵画技法によって描かれた作品を示す言葉として誕生した。その技法は、この3人にも受け継がれている。しかし彼らが描くのは、日本画の歴史や概念にとらわれないユニークな世界だ。伝統から出発し新しい表現を模索する画家たちが、新しい風を吹かせることを期待したい。

『如月の鼎展』

開催期間:2月20日(土)~3月6日(土)
開催場所:画廊くにまつ青山
東京都港区南青山2-10-14 Aoyama Annex 1F
TEL:03-3470-5200
info@gka.tokyo
開廊時間:12時~19時(月~金)、12時~18時(土、祝日)
休廊日:日曜
入場料無料
画廊くにまつ青山 www.gka.tokyo/
画廊くにまつ青山 ウェブストア https://paintings.stores.jp/

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