書の可能性を広げる現代アーティスト、紫舟が妖しく美しい春画に施した仕掛け。

  • 文:Pen編集部
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輪郭線は立体彫刻として画の前に設置。鑑賞者は自らの目の中で春画を完成させることになる。紫舟『組組』(素材:鉄+墨 天吊り)。©SISYU 紫舟

文字を書き起こすことから、美しさや思想をも含む造形芸術へと発展を遂げた「書」。この日本の伝統文化を絵、彫刻、メディアアートへと昇華させ、日本の文化を世界に発信する現代アーティスト、紫舟(ししゅう)。このたび、浮世絵の一種である「春画」をテーマにした展覧会『紫舟 春宮秘画展』が東京・代官山のDAIKANYAMA T-SITEで開催される。


紫舟が再構築する春画は極めてユニークだ。浮世絵では筆を使い描かれる輪郭線を、画から排除。一方でその墨蹟(筆の跡)を立体彫刻にし、画の前に設置する。鑑賞者がある1点から見つめると、ひとつの作品として完成するという仕組みだ。それ自体が美しい形状を持つ彫刻の周囲を、鑑賞者は能動的に動き回り、秘められた完成形を探し求めることとなる。書の可能性を広げ続ける作家の、大胆で美しい発想を体験したい。


この春画シリーズは、イタリア・ミラノでも大きな反響を得た。紫舟『天天』。©SISYU 紫舟

本展の展示作品はすべて購入可能。また、紫舟が監修する蒔絵万年筆、ガラスペンなどの商品を初めて発表・販売する。写真は創業200年を超える輪島屋善仁(石川県)が、日本最高峰の美しい蒔絵を施した万年筆。¥660,000(税込、完全受注生産)。

『紫舟 春宮秘画展』

開催期間:2020年12月19日(土)~12月25日(金)
開催場所:代官山T-SITE GARDEN GALLERY
東京都渋谷区猿楽町16-15
開館時間:10時~18時(12/19のみ13時開場。また、12/20の13時~18時に作家が在廊予定)
https://www.ccc-artlab.jp/contact/