村上春樹の新訳で読む、マッカラーズの古典的名作『心は孤独な狩人』。

  • 文:今泉愛子

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『心は孤独な狩人』カーソン・マッカラーズ 著 村上春樹 訳 新潮社 ¥2,750(税込)

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】

アメリカ南部に暮らす人たちの日常を描いたカーソン・マッカラーズの1940年の作品を、青春期に読んで影響を受けたという村上春樹が翻訳。人種差別に我慢ならない黒人医師、いつも酔っている労働者、音楽家志望の利発な少女、妻と不仲の食堂店主は、ひとり暮らしの聾唖者の男にそれぞれ自らの怒りや悲しみ、戸惑いを語る。著者は、彼らがもて余す孤独を見事に描写。誰もが頼りにしていた聾唖者も、実は孤独に苛まれていた。読み進むうちに、人間社会の深い影が浮かび上がる。



村上春樹の訳文が伝える、ゲッツが生きた時代の息遣い。

歪んだ正義がもたらす、「過激化」のプロセスを解き明かす。

ウイルスで激変した東京を、 写真家・初沢亜利が撮る。