100%再生可能。プラダのサスティナブルな取り組み“PRADA RE-NYLON”のインスタレーションが青山店で開催中。

  • 文:森下隆太

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プラダを代表する素材であるナイロンを、100%循環可能なリナイロンへとシフト。ハット上部のトライアングルロゴがその目印。

昨年発表され話題を呼んだプラダのサステナブルコレクション「プラダ リナイロン(Prada Re-Nylon)」。プラダを代表する素材であるナイロンを、環境に配慮した循環型の素材ECONYL®でアップデートさせたコレクションで、今季はバッグのみならず、スポーティなウエアやブーツ、スニーカー、ハットやベルトなど頭からつま先までアイテムを拡張させた。そんなコレクションの取り組みを紹介すべく、現在、プラダ青山店にてスペシャルインスタレーションが開催中だ。

通常この時期は秋冬の新作で埋まっているメンズフロアの地下1階。このスペースのほとんどがリナイロンのアイテムで置き換えられている。店内を彩るのはアーチ状につなげたスクリーンや壁面のビデオウォール。「ナショナル ジオグラフィック」のチームが手がけたムービーが映し出されているが、黒が印象的なモノクロの映像は、プラダの原点であり定番のブラックナイロンと呼応するものになっている。

壁面を覆う巨大なビデオウォール。雄大な自然と製造過程を追ったムービーは、一見の価値あり。

右手奥に見えるのがスクリーン。テクノロジーが可能にしたサステブナブルというイメージを補完するものだ。

このリナイロンは、合成繊維製造に長けたイタリアのファブリックメーカー、アクアフィル社とプラダの協業によって実現したもの。海から集められたプラスチック廃棄物、魚網、繊維廃棄物を浄化・分解し、再重合させることで、再生ナイロン繊維として生まれ変わっている。石油からつくられるナイロンによる地球温暖化の影響を最大80%削減することに貢献し、1万トンの再生ナイロン繊維で7万バレルの石油が節約できるという。

最大のポイントは、ナイロンを新たにつくる必要がないということだろう。すでにあるものを用いて循環させる、文字通りサステナブルなものづくりの体制が整ったというわけだ。ちなみに、プラダは2021年末までに、すべてのナイロンをリナイロンに置き換えることを目標にしている。生地のクオリティは従来のものと比べてもまったく遜色がなく、高級感のある美しい光沢を湛えている。

また、アイコニックなトライアングルロゴは、三角形にループした矢印のロゴへと姿を変えた。これはリナイロンのタイムレスな概念を表現したものだが、サステナブルな素材が当たり前になれば、このロゴもいつかは見られなくなるかもしれない。フロア全体を使用したインスタレーションは見るだけでも楽しめる。プラダの新たな意思を確かめるべく、足を運んでもらいたい。

リナイロンと牛革の「サフィアーノ」レザーを使った、異素材ミックスのバックパック。「リナイロンx「サフィアーノ」レザー バックパック」¥265,100(税込・予定価格)

こちらもリナイロンを使ったコンバットブーツ。小さなポーチもセットになっているデザインだ。「Re Nylon コンバットブーツ」¥ 192,500(税込・予定価格)

「Prada Re-Nylon」インスタレーション
東京都港区南青山5-2-6
TEL:0120-45-1913
営業時間:11時〜20時
※インスタレーションの展示終了日は未定
www.prada.com