腕時計の美しさは、手首に着けてやや傾けた状態、つまりダイヤルからケースサイドにかけての見え方がポイントといわれる。オーデマ ピゲが昨年に発表した新コレクション「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」も、八角形のミドルケースと中抜きスケルトンのラグによって、大胆かつ繊細極まりない造形の妙が表現されている。このコレクションに、遊び心を感じさせる個性的なカラーダイヤルが追加されたほか、18Kホワイトゴールドとピンクゴールドをコンビネーションしたバイカラーモデルも登場した。
ダイヤルカラーは深紅のバーガンディを筆頭に、海を想わせるブルー、エレガントなパープル、控え目だが知性的なグレー、黒に近いスモークグレーの5色。いずれもスモークラッカーで仕上げているため、厚みと奥行きを感じさせる。これまで腕時計のダイヤルは白またはシルバーと黒が主流だったが、近年はブルーが定番となり、グリーンも増加。特に最近はレッドも散見されるので、鮮やかなバーガンディも違和感はない。ただし、平板な色味ではなく、ダイヤルを傾けた時に陰影を見せる立体感が独特の魅力を放つ。カジュアルなスタイルはもちろん、とりわけダークスーツに合わせると全体の印象を格段とスタイリッシュに引き締めてくれる。もちろん5色のどれを選んでも、裏切られることは決してないはずだ。
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」は、1993年の「ロイヤル オーク オフショア」以来およそ四半世紀ぶりの新コレクションとして、5年の歳月を費やして誕生した。ベゼルを極薄にして面積を限界まで拡大したダイヤルに、ダブルカーブで光が波紋のように屈折するサファイアクリスタル風防など細部を紹介すればキリがないが、やはり冒頭で触れたケースサイドが最も特長的だ。それを一目瞭然にするのが、新しく追加されたバイカラーモデルなのである。ミドルケースは18Kピンクゴールド、その他はホワイトゴールドなので、革新的な構造がより際立つ。こうしたバイカラーは同ブランドでも超希少という。
ちなみにネーミングの「11.59」とは、新しい日を迎える深夜12時の1分前の緊張感と期待を意味する。まさに伝統と現代、重厚感と軽快感など、対立する概念を巧みに融合した傑作と言えるが、今回の新作は同ブランドの硬派な職人気質に洗練された大人の艶っぽさを加味した、斬新なバリエーションといえるだろう。
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