街ゆく人の目を奪う、メゾンエルメス銀座の“動く”ディスプレイの仕掛けとは。

  • 文:梶原博子
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銀座の晴海通りに面したディスプレイ。we+によるものは、1月29日(水)〜4月14日(火)の期間展開される。ソニー通りに面した側面の16の小窓も彼らが手がけている。

“街に開かれた劇場”を標榜し、道行く人びとの目を楽しませるメゾンエルメス銀座のウィンドウディスプレイ。毎回さまざまなクリエイターとコラボレーションし、エルメスのプロダクトの魅力を発信してきた。エルメスの年間テーマである「イノベーションの動き」を2020年のディスプレイのテーマとして掲げている。その第一弾として、国内外で注目される日本のコンテンポラリーデザインスタジオ、we+(ウィープラス)による展示「美しき出会いーEncounter」がスタートした。

安藤北斗と林登志也によるwe+は、リサーチと実験に基づいた独自の手法でデザインを行う。今回は、イノベーションという概念を解釈するところからスタートしたという。「イノベーションという言葉がもつ、異なる生産要素を組み合わせて新しい価値を生む、という意味に着目し、その出会いを異なる色と色で表現しました」と安藤。カラーサンドをメタファーとして用いて、スクリューが内蔵されたアクリル管の中でさまざまな色が混ざり合い、さらに別のアクリル管に落ちて混ざり合うという繰り返しでイノベーションの営みを表現。キネティックアートとして、エルメスのオブジェと一体になって展開されている。

「僕らが自然現象を使ってデザインするのは、不確定要素を楽しみたいから。コントロールされない偶発的なモノとの対峙に魅力を感じています」と林。混ざり合う砂の色は、二度と現れることのない一期一会の色彩だ。銀座を訪れたら、ぜひこのディスプレイにご注目を。春色を纏ったエルメスのスカーフやバッグとともに、予期せぬ色と色との出会いを楽しんでみてほしい。

平行と垂直に並べられたアクリル管の中で攪拌されたカラーサンドが、ある一定の時間ごとに下の受け皿に落ち、下のアクリル管の中で色と色が混ざり合う。

いくつかのアクリル管で混ざり合ったカラーパウダーを受け止めるのは、サンルイのウォータージャグ。

カラーサンドと、いち早く春を告げるエルメスのスカーフの色調が呼応する。

『美しき出会いーEncounter』

展示期間:2020年1月29日(水)〜4月14日(火)
銀座メゾンエルメス
東京都中央区銀座5-4-1
TEL:03-3569-3300
www.hermes.com/jp/