初めての京都・祇園を、気おくれせずに満喫できるお薦め6軒。

  • 写真:大島拓也、谷口 哲、内藤貞保
  • 文:國友 敬

Share:

  • Line

京都の祇園といえば、茶屋や高級割烹など、一見には簡単に楽しめないイメージ。だがこのエリアには、気軽に利用できる店も少なくない。ひとりでもふらりと寄れる、お薦めの6軒を紹介する。

歴史的な遺産が数多く点在する京都の中でも、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されるなど、情緒あふれる景観が密集する祇園。このエリアを楽しむのは高くつくイメージがあるが、気おくれせずひとりで立ち寄れる店も少なくない。たとえば祇園の真っただ中にありながら、アットホームな雰囲気で迎えてくれる「祇園サンボア」は、著名人の常連客も多い老舗のバー。茶屋も経営する女将がカウンターに立つので、芸妓や舞妓が客と立ち寄ることも珍しくない。事情通のマスターが多いので、バーは情報収集の場としても活用できるはずだ。

祇園の老舗を少し贅沢に味わうなら、鯖寿司で有名な「いづ重」や鰻の「梅の井」がいい。どちらも100年もの長い歴史をもち、店がこの地で代々受け継いできた食文化は、味や設えを含めここでしか出合えないだろう。

中華にも祇園ならではの味がある。巽橋のすぐ前にある「竹香」はその元祖で、芸舞妓が仕事前に食べても匂わないようにするため、ニンニクや生姜を使わないあっさりした中華料理をつくるようになったという。以来、この周辺ではあっさり味の中華が定番になったとか。

石畳の道を歩くだけでなく、食や酒を楽しみながら「ひとり、京都」を堪能したい。祇園は、そんな贅沢を叶えるのにもってこいの街だ。

祇園サンボア GION SAMBOA──花街の一角に佇む、クラシックな空間。

キリっと冷えたマティーニは、常連客もよく注文する人気の一杯。カクテル¥1,200~。お通しは、素朴な味のハムサンド。

祇園の中でもひと際風情あふれる石畳の小路の一角に、1972年創業の「祇園サンボア」はある。漫画家の北見けんいち氏が書いた味のあるのれんをくぐると迎えてくれるのは、2代目の中川よし子さんと4代目端貴さん。1軒隣の茶屋と兼業で切り盛りする。メニューは、シングルモルトやスタンダードなどバランスのいい品揃え。おつまみとして出してくれるからしの効いたハムサンドとともに、ゆっくりとグラスを傾けたい。

おもに4代目の端貴さんがカクテルをつくる。

茶屋や料亭が並ぶ祇園の真っただ中にありながらもアットホームなので、入りやすい。

京都市東山区祇園町南側570-186 
TEL:075-541-7509 
営業時間:17時~24時(火~土) 17時~23時(日・祝) 
定休日:月

ル・プー 祇園──最高のロケーションを味わう、祇園の人気バー

店舗移転後、新たに加わった人気の一品、ローストビーフ¥2,000(税サ別)。フードメニューはパスタやリゾットなど、しっかりメシ系が揃うのもうれしい。

祇園で遊ぶ大人たち御用達のバーが2016年に移転。以前の店舗から徒歩すぐという立地ながら、祇園を流れる白川が見渡せる絶好のロケーションを手に入れた。店の場所は変わっても、シェフが腕をふるう本格的なイタリアンが早朝4時まで楽しめること、さらに500本以上そろうワイン、スタンダードなカクテルから充実したシングルモルトのラインアップまで、使い勝手のよさは変わりなし。遅めの時間から混雑することが多いとのことなので、ゆっくりとこの店の良さを味わいたいなら、1軒目使いでオープンすぐに訪れるのもお薦めだ。

じっくりと落ち着けるカウンターの雰囲気は、前の店舗から変わらない。

ぜひ桜の季節に訪れたい、白川沿いの席(別途チャージが必要)。

京都市東山区末吉町80-1 1F
TEL:075-532-1718 
営業時間:19時~翌4時(月~土)、20時~翌1時(日、祝)
無休(年末年始、GW、盆除く)

いづ重 ──100年変わらぬ寿司で楽しむ、古都の味。

小鯛、厚焼き卵、エビなどが入った上箱寿司¥1,870(税込)と、鯖寿司と巻寿司が入った鯖巻¥1,787(税抜)の組み合わせ。

京都で寿司といえば、鯖寿司。八坂神社の西門の前にある1912年創業の「いづ重」は、素材は改良が進むものの、創業当初のメニューがいまも楽しめる老舗だ。古くから京寿司は家に持ち帰って食べるのが習慣だったため、鯖寿司は常温でも2日間もつという。見た目にも美しい昆布に巻かれた鯖寿司のほかに、小鯛、厚焼き卵、エビ、とり貝、鰆の焼き身などが彩り豊かに盛り付けられた箱寿司も人気。10時30分から19時の通し営業のため、遅めの昼食にも最適だ。

100年前とほぼ変わらない趣のある雰囲気の店舗。外国人観光客からも人気で、各国の客がメニューの横に母国語で書き残した「昆布を外してから食べる!」とのメモが面白い。

京都市東山区祇園町北側292-1(祇園石段下) 
TEL:075-561-0019
営業時間:10時30分~19時 
定休日:水

ぎをん 梅の井 ──老舗の味と、ワインのマリアージュ

鰻の蒲焼¥6,600(大・税込)とワインの組み合わせはぜひ試したい。ムルソーなどのしっかりした白ワインとも相性抜群。グラスワイン¥1,100(税込) 

「ぎをん 梅の井」は2015年、創業100年を機に八坂神社に隣接する円山公園内に移転。新店舗となった建物は、初代から当代まで受け継いできた町家造りの家屋で、庭や茶室も設けられた優美な空間。白焼きにして余分な脂を取り除いたあと秘伝のタレで焼く江戸前の鰻と、バラエティ豊かな季節料理が、気軽な割烹スタイルで楽しめる。ワインにも力を入れており、料理に合わせて新鮮なマリアージュを楽しめる。

テーブル席18席と座敷24席のほか、2階には個室も。

カウンター6席とテーブル10席のほか、茶室を改装した個室も。

京都市東山区祇園町北側円山公園内 
TEL:075-561-1004 
営業時間:11時30分~13時、17時30分~19時30分 
定休日:水、土用の丑

広東御料理 竹香 ──祇園流あっさり中華、生誕の店。

豚ひき肉と野菜を甘口の味噌につけ、瑞々しいシャキシャキのレタスで包んで食べるレタス包み¥1,650(税込)

祇園の中華料理は、ニンニクや生姜を使わないあっさりしたものが多い。芸舞妓が仕事前に食べても、匂いが気にならないようにするためだという。その元祖が、「竹香」だ。豚ひき肉と野菜をレタスに包んで食べるレタス包みや、厚めの皮で包んだ春巻など、本場の中華とは違う優しく素朴な味わい。祇園の中でも観光客に特に人気の巽橋近くに位置するが、地元住民も多く訪れる居心地のいい店だ。

中身の具はシンプルなため、カニの旨味が引き立つ春巻(カニかやく巻き揚げ)¥880(税込)

テーブル席18席と座敷24席のほか、2階には個室も。

京都市東山区新橋通花見小路西入ル橋本町390 
TEL:075-561-1209 
営業時間:17時~20時20分L.O. 
定休日:火 
カード不可

権兵衛──ダシの深みが違う、昔ながらの丼。

かまぼこと椎茸の甘煮をとろとろの卵でとじた、近畿では定番の木のは丼¥1,100(税込)

1927年に鴨川を挟んで向かいの木屋町で創業し、46年に現在の祇園町北側に移転した「権兵衛」。いわゆる関西系のあっさり出汁にもかかわらず、じんわりと広がる味わいはあくまでしっかり。山椒をふりかければ、より深い風味が楽しめる。同じ出汁でつくられた「木のは丼」は、椎茸の甘煮とかまぼこを卵でとじた近畿地方の定番。絶妙にとろとろな卵と出汁がご飯によく絡み、ついついかき込んでしまうはずだ。

権兵衛のうどんは、関西系のあっさり出汁ながら深い味わい。鳥なんばうどん¥1,100(税込)

祇園四条駅からすぐ、四条通から少し入ったところにある。50年以上前の古い木造のつくりも祇園ならではだ。

地元住民から観光客、修学旅行生まで、一日中ひっきりなしに客が訪れる。

京都市東山区祇園町北側254 
TEL:075-561-3350 
営業時間:11時30分~20時 
定休日:木 
カード不可

こちらの記事は、Pen+「完全保存版 ひとり京都。」特集からの抜粋です

初めての京都・祇園を、気おくれせずに満喫できるお薦め6軒。

  • 写真:大島拓也、谷口 哲、内藤貞保
  • 文:國友 敬

Share:

  • Line

Hot Keywords