2020年【ファッション】の流行スタイルを徹底解説。

  • 写真(展示会)・文:高橋一史

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2020年のメンズファッションは、どのようなスタイルがブレイクするのだろうか。世界のモードブランドと、日本のセレクトショップが発表した春夏のラインアップから傾向を探ってみた。


総括的なキーワードは、「1970年代フレンチシック」。シャツの大きな襟をテーラードジャケットの外に出して、裾はパンツの中にイン。ただしVゾーンを飾るのはネクタイでなく、派手な柄のスカーフだ。70年代の上流階級のようにドレスアップするやり方が、着こなしの鍵になる。大人の装いが再び蘇ってきた。

一方でカジュアルシーンでは、上から下までダボダボな服を着る近年の流行が続きそうだ。キーアイテムは、股上が深く幅広のパンツ。ただしここにもエレガンス気分が反映され、靴はスニーカーから革靴になり、アウターはパーカからテーラードに変わる。落ち着いたムードが広がるだろう。


■モードのマストアイテムは、ネイビーブレザー

DRIES VAN NOTEN

LOEWE

CELINE

世界のトップモードブランドがこぞってラインアップしているのがブレザーだ。レトロかつ上品な装いに最適なアイテムである。ダブルボタンの前合わせが多いのは、フロントを全開してもコートのようにクールな雰囲気を出せるからだろう。さらに「ブレザー=アイビー」の概念から逸脱する発想も今年流だ。軍将校の制服にも似たメタルボタンのこのジャケットで、自由な着こなしを。


■カジュアルは、ダボダボがお約束

MARGARET HOWELL

Hermès

上写真の2ブランドに共通しているのは、まず全身をダボッとさせていること。パンツをくるぶし丈にして服の重さを「軽く」見せているのがポイントで、素足が覗くレザーサンダルを履くのも同じ狙い。ルーズな服を品よく着るためのヒントがここに隠されている。さらに注目すべきは首周り。短くスカーフやバンダナを巻き、さりげなくフォーマル感覚を加えるのが大人のセンスだ。


■シューズは、爪先を尖らせて

ami alexandre mattiussi

去年なら、このジャケット+短パン姿の足元は、白いスニーカーだったかもしれない。それが黒のレザーシューズという点に、新しい時代の変化がある。パリやミラノでショー発表するモードブランドの中で今季、スニーカーをメインに打ち出したブランドはごくわずかしかない。レザーシューズの旬なデザインは、このルックが示すような爪先が尖ったポインテッドトゥだ。


■色はパステル、アグレッシブなのはパープル

Salvatore Ferragamo

どこをとっても20年春夏らしさが満載のコレクションルック。短パンはカーゴパンツで、シューズはあえてのゴツいレザーブーツ。インナーに着たサマーセーターのモックネック襟も、好む人が増えている襟型だ。さらに注目すべき点は色彩バランスにある。ピンク系のパープル、オレンジ、ブラウンといった流行色が、見事に組み合わされている。


■サステナブルこそ、最大のトレンド !?

Stella McCartney

地球環境に配慮した持続可能な世の中をつくるサステナビリティは、アパレル産業の最重要課題だ。各ファッションメディアも取り上げるこのテーマが、20年には一般購買層の意識にまで広がりそうだ。ここに掲載したステラ・マッカートニーは、デザイナー自身がサステナブルな活動を長年続けている先駆者。このルックのコートの柄は衛星から撮影した地球の写真だ。

街のリアルを生む、セレクトショップの提案。

ここからは有力セレクトショップの春夏展示会を見ていこう。街のリアルが投影されたアイテムが揃っている。


■鍵を握るのは70年代テイスト

TOMORROWLAND

TOMORROWLAND

BEAMS F

かっちりと装うフォーマル感覚の台頭に伴い、街中でテーラードジャケットを目にする機会が増えてきそうだ。70年代を真似てシャツの襟を外に出せば、手軽に旬の着方になる。シャツで人気なのは、ストライプか派手なプリント柄。レトロシックなリゾート着を思い描こう。身体につかず離れずなゆるいシルエットで、着丈が長めのジャケットと組み合わせるのが正解だ。


■襟にちょい巻のスカーフを

SHIPS

Barneys New York

昨年大流行した白Tシャツは、今年も人気が継続。ひとつ異なるのはその着方だ。襟元にスカーフを加え、優雅な印象にする着こなしがイン。派手に巻いて着飾るのはファッショニスタに任せておき、シック好みの大人はTシャツからチラ見せするバランスを狙おう。こうした小物使いも、70年代リバイバルの風潮と呼応した装いのセオリーである。


■ユースカジュアルはダボダボで

BEAMS

オーバーサイズの服を何でも重ねて着るのが、ジャパニーズ・ストリート・スタイルだ。「ビームス」のディスプレイではその傾向が強く打ち出された。頭にはベースボールキャップでなくバケットハットが被せられている。服の色は落ち着いたアースカラーで、昨年流行したエッジーな蛍光色はすっかり影を潜めた。そして足元は、若い世代が履きはじめたレザーシューズがイチ押しだ。


■街の光景がカラフルになるか

BEAMS F

20歳前後の男女を中心にアースカラーの人気が根強い中で、大人に提案されているのがパステルカラーだ。日本人の肌と髪の色にはハマりにくい色ではあるものの、上手く着れば服装がグッと華やぐ。とくに新鮮味があるのはピンク系だ。男性には敷居が高いだろうが、コーディネートを工夫して我がモノにしよう。


■セットアップ人気はどこまでも

LAND OF TOMORROW

ここ何年も各セレクトショップが口々に、「売れている」と口にするのが、上下の生地を揃えたセットアップの服だ。ジャケットとパンツを個別に購入して、いざというときスーツとして着られるコンセプトがセットアップ人気を支えている。その一方でこの掲載品(イギリスの『イートウツ』)のようにシャツ+パンツのセットアップも、ファッション感度の高い人に支持されている。


20年は世界的に、若いスポーツカジュアルの流行が一段落して、大人な装いにシフトする年になりそうだ。ただし日本では今年、オリンピックという国を上げての大イベントがある。日常生活の服装も、スポーツムードに影響されるかもしれない。ファッションが本格的に切り替わるのは秋を過ぎてから、という未来予想もできそうだ。

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