バウハウス創設100周年を記念した「マックス・ビル」の限定クロノグラフは、象徴的な色づかいに注目。

  • 文:笠木恵司
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12時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計を備えたクロノグラフ。センターの細長い針はクロノ秒針。通常は9時位置となるスモールセコンドを省略することで、左右対称のデザインにしています。風防もダイヤルも緩やかなドーム状になっており、細身のプッシュボタンと合わせてレトロな雰囲気。

ドーム状の緩やかな丸みが印象的な風防とダイヤル。ベゼルを限界まで薄くすることで面を広げたダイヤルには、時間を正確に読み取れる必要最小限のインデックスを線描。これを指し示す長い秒針と分針の先端は、風防のカーブにぴったり合わせて曲げられています。

ドイツの名門時計ブランド、「ユンハンス」が1961年に発表した「マックス・ビル」コレクションは、独特のレトロな雰囲気が漂うロングセラー。マックス・ビルとは、伝説的な芸術学校であるバウハウスの全盛期に学び、多方面で活躍したことから「バウハウス最後の巨匠」とも謳われるデザイナーの名前です。

バウハウスは1919年にドイツ・ヴァイマールで創立され、1933年に閉校。短い期間ながらも、技術と芸術を統一した機能主義・合理主義的思想は、建築や工業製品など多岐にわたるデザインの源流となっています。今年は同校創立から100周年。これを記念したクロノグラフ「マックス・ビル クロノスコープ Ltd1000」が登場しました。

前述したコレクションをベースにしていますが、日付表示はレッドの下地に白抜き数字。時分針にもレッドをアレンジしています。この色の由来は、ケースバックを見れば一目瞭然。バウハウスのデッサウ校舎が描かれており、そのエントランスのドアが赤だったことが分かります。建物の窓部分は格子状のオープンワークで、自動巻きムーブメントの一部が顔を出しています。
通常は9時位置となるスモールセコンドを省略。左右完全対称にデザインされており、クロノグラフを使わない時には関連の指針が重なって直列(センターの細長い針はクロノグラフ秒針)。均整の取れたシンメトリーのダイヤルの中で、時分針だけが静かに時の経過を告げることになります。

バウハウスの著名なデザイン哲学は「形は機能に従う」ですが、それに加えて、この時計は人間的な温かみを感じさせます。それこそが半世紀を超えても根強く愛されてきた理由ではないでしょうか。

要所のカラーリングは、1927年にマックス・ビルが初めて見たバウハウス・デッサウ校の印象に基づいています。ケースバックには校舎が描かれており、ダイヤルにアレンジされたレッドがエントランスのドアの色であることが分かります。窓枠からムーブメントが見えるオープンワークもユニーク。

ステンレススチールのケースはPVD加工によるアンスラサイト(無煙炭)マット仕上げ。これは校舎前面の壁の色であり、マット仕上げのシルバーダイヤルは白壁。カーフストラップのグレーは、建築素材であるコンクリートをイメージ。自動巻き、パワーリザーブ約48時間、ケース径40㎜、厚さ14.4㎜、3気圧防水、世界限定1000本。「マックス・ビル クロノスコープ Ltd1000」。¥290,000(税抜)、10月発売。

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