お馴染みのディテールがこんなところに!? ヴィンテージウエアを解体&再構築する気鋭レーベルの新プロジェクト

  • 文:今野壘

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1980年代の501®と同時期に米軍に支給されていたチノパンを組み合わせ、トラッカージャケットへとアップデート。両玉縁仕様の内ポケットなど、細部まで遊び心たっぷり。淡いトーンのコントラストがこれからの季節にもよく合います。「ヒュージョンジャケット」¥60,480(税込)/オペレーションズ アイビー(M.I.U.)

誰もが知るスタンダードな洋服を使った、誰も見たことのないアプローチ。中目黒のコンセプトショップ「M.I.U.」で2017年より展開されている「オペレーションズアイビー」は、ヴィンテージウエアを一度解体し、まったく別の洋服として生まれ変わらせることでトラッドに新たな魅力を付加してきた異色のレーベル。その新プロジェクトである「クロスオーバー」が4月6日より始動しました。

これまでは1着の古着を再構築するというクリエイションが定番でしたが、今回の試みでは異なるふたつのアイテムから別々にパーツを採り、ひとつの洋服に仕立てていく作風へと深化しています。すべての工程が手作業で、お馴染みのアーキュエイト(弓型)ステッチが入ったリーバイス®のヒップポケットやボタンダウンシャツのワンポイント刺繍など、素材になったアイテムの象徴的な部分を活かしたデザイン。一つひとつのアイテムに対するつくり手の敬意が感じられます。

もちろん、同じ風合いや表情のアイテムはふたつとなく、その特別感にさらに愛着が増します。ベーシックなウエアをヒネらず着る、従来のアイビースタイルとはまったく違うけれど、トラッドの真髄はしっかりと味わえる意欲作。教科書通りではないこんなスタイルも、新鮮で面白いのではないでしょうか?

いわゆるセカンドタイプのデニムジャケットを思わせる2ポケットのデザイン。アタリの出たポケットや、サイドシームの割縫い部分をあえて露出させたアームの構造など、見慣れたディテールも取り入れ方が変わるとフレッシュな印象に。

ジャケット同様、ヴィンテージから生地を採ったトラウザーズは2タック&太めのテーパードシルエットというモダンなバランス。シャープな切り替えと、ウエスト背面に残した「リーバイス®」の紙パッチがアクセントです。「ヒュージョントラウザーズ」
¥41,040(税込)/オペレーションズ アイビー(M.I.U.)

一見するとベース自体がラガーシャツのようですが、実はオックスフォード地のボタンダウンシャツを2枚組み合わせたもの。生地の切り替えで表現されたボーダー柄に、レイヤード風の裾のアレンジ。いまっぽいボリューム感もいい。「ストライプ ラグビーシャツ」¥34,560(税込)/オペレーションズ アイビー(M.I.U.)

バックには、ベースとなったシャツのフロントデザインを大胆に採用。見慣れたワンポイントの刺繍ですが、この位置に入るのは過去の数多のリメイクアイテムを振り返ってもまず見られないはず。もちろん前立て(背面ですが)は実際に開閉できるので、インナーののぞかせ具合でも楽しめそうです。

M.I.U.
東京都目黒区青葉台3-18-10
03-5457-2166
www.miu-tokyo.com