いまこそ取り入れたい! “ダサかっこいい”懐かしの90'sスタイルをもう一度。

  • 写真:長友善行(人物)、杉田祐一(物)
  • スタイリング&編集協力:小野田史(FASHION PARTNER)
  • ヘア:TAKESHI(SEPT)
  • 文:川島拓人(kontakt)、小竹森久美
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華やかにファッションが咲き誇った1990年代。あの頃のトレンドが、いまメンズファッションの世界で復活しています。今季は、90年代的なアイテムが多く出揃いました。当時の気分を象徴する「ビッグロゴ」、「ダッドスニーカー」、「センター分けヘア」の3つのキーワード。それぞれのトレンドと最新アイテムを紹介します。

90年代の渋カジブームを象徴するアイテムのひとつがライダースジャケット。写真のシングルライダースジャケットは、前身頃に大きく描かれたブランドロゴに加え、レザーの切り替えしによるネイビー、ブラック、ホワイトのカラーリングでモダンに。ジャケット¥1,015,200(税込)/ダンヒル(ダンヒルTEL:03-4335-1755) シャツ¥45,360(税込)/フライ(サンモトヤマ 銀座本店TEL:03-3573-0030) パンツ¥95,040(税込)/アンブロージ(ブライスランズTEL:03-6721-0133) ゴローズの90'sオールドネックレスは私物

90年代ムードを盛り上げる、ビッグロゴのアイテム。


1980年代から90年代にかけて、エリックB&ラキムやビッグ・ダディ・ケインなど多くのアメリカ東海岸のラッパーたちが成功やステータスを誇示するために、高級ブランドのロゴが大きく入った洋服を着用。そんな中、ストリートにビッグロゴブームが巻き起こります。このトレンドに大きく影響を及ぼした人物のひとりが、ニューヨークのテーラー、ダッパー・ダンでしょう。彼はハイブランドのアイテムを“サンプリング”し、リメイクアイテムを販売していました。このブートレグ的手法によって多くの高級ブランドのロゴを施した個性的なアイテムが登場し、ヒップホップカルチャーを通じてセレブリティや若者から支持されるようになったのです。
そして現在の90年代ファッションのリバイバル。グッチはダッパー・ダンとコラボし、当時のブートレグアイテムを引用してオフィシャルで展開。またロエベやバーバリーなどのヨーロッパメゾンからカルバン クラインなどのアメリカのブランドまでが敏腕グラフィックデザイナーと手を組み、かつてのロゴに手を加え、新ロゴを使ったアイテムを全面的に押し出す傾向が見られます。大きなロゴを用いたキャッチーな洋服が、自分が何者なのかを、最もわかりやすく伝えるメディアとなっているのかもしれません。

左右のスリーブに、ブランド名やCDGロゴが大きくグラフィカルに施されている。Tシャツ¥9,720(税込)/シーディージー(コム デ ギャルソンTEL:03-3486-7611)

レトロなストリート感がエレガントに漂うマルチカラーのバックロゴは、日本人アーティストE-WAXによるもの。ジャケット¥200,880(税込)/ミッソーニ(三喜商事TEL:03-3470-8237)

イタリア産のホワイトの革に、シグネチャーである黄色のストラップやオレンジのケーブルタグがアクセントに。スニーカー¥81,000(税込)/オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™ (イーストランドTEL:03-6712-6777)

セルフパロディ的にビッグロゴをアレンジした、メゾンの遊び心。

写真左:タイガーのエンブロイダリーとヴィンテージロゴを組み合わせたグッチならではのリバイバルアイテム。スウェット¥140,400(税込)/グッチ(グッチ ジャパン カスタマーサービス) Tシャツ¥9,072(税込)/コム デ ギャルソン・シャツ(コム デ ギャルソンTEL:03-3486-7611) ジーンズ[リーバイス501 ビッグE]¥53,784(税込)/ベルベルジン(ベルベルジンTEL:03-3401-4666) ブーツ¥25,920(税込)/クラークス オリジナルズ(クラークスジャパン) ウォレットチェーン¥642,600(税込)/クロムハーツ(クロムハーツ ハラジュクTEL:03-5771-5602)

写真右:ヘビーオンスのフェルトコットンをボディーに採用したフーディーは、アメリカのMLBとのコラボレーションによるもの。バックにはブランドロゴ、前身頃にはニューヨークヤンキースのエンブロイダリーが施されている。スウェット¥191,160(税込)/グッチ(グッチ ジャパン カスタマーサービスTEL:0120-88-1921) シャツ¥56,160(税込)/シャルべ(ユナイテッドアローズ 原宿本店TEL:03-3479-8180) ジーンズ¥10,800(税込)/リーバイス®(リーバイ・ストラウス ジャパンTEL:0120-099-501) シューズ¥24,240(税込)/クラークス オリジナルズ(クラークスジャパンTEL:03-5411-3055) バッグ¥8,640(税込)/ツェプテピ(ワグ インクTEL:03-5791-1501) スニーカー[エア ジョーダンⅠ]¥32,184(税込)(バッド・ユーズド・クロージングTEL:03-3401-7246)

"FF"ロゴとカーリングを採用した今季のフェンディが、ストリートで定番のボディバッグをジェンダーレスで展開。ボディバッグ(H19×W46×D8.5㎝)¥145,800(税込)/フェンディ(フェンディ ジャパンTEL:03-3514-6187)

鬼才ジョナサン・アンダーソンとタッグを組んだM/M (Paris)が手がけたロゴはストリートでも顔なじみの存在に。スウェット¥69,120(税込)/ロエベ(ロエベ ジャパン カスタマーサービスTEL:03-6215-6116)

手書きのシグネチャーロゴが印象的なヨウジヤマモトの6パネルキャップは、ニューエラとのコラボレーション。キャップ¥12,960(税込)/ヨウジヤマモト(ヨウジヤマモト プレスルームTEL:03-5463-1500)

今季買うなら90年代風のボリュームシューズ、ダッドスニーカーを。

90年代を代表するシューズといえばナイキやリーボックなどのハイテクスニーカーです。スポーツのパフォーマンスを上げるため各社がクッショニングの新システムを考案。ナイキはミッドソールにエアユニックを搭載した「エアマックス」を発売し、スニーカーを一気に進化させました。リーボックは、アッパー内部に空気を注入する「ザ・ポンプ」で業界をリード。各社が競争を繰り広げ、結果、スニーカーのルックスはフューチャリスティックに劇的に変化しました。

ストリートシーンではここ数年、90年代スケーターのカルチャーが優勢で、スニーカーもヴァンズのオールドスクールやアディダスのスーパースターのようなレトロタイプが人気を集めていました。が、エアマックス95が20周年を迎えて復刻ムードが高まるとハイテクモデルがリバイバル。さらにモード界では時代の寵児、デムナ・ヴァザリアが2017年秋、バレンシアガのメンズコレクションでハイテクスニーカーを発表。巷ではこれらの90年代風ボリュームシューズが「ダッドスニーカー(お父さんが履いていたような靴)」の名称で拡散。一挙、トレンド最先端に躍り出ました。今シーズンは、さまざまなメゾンからこのタイプのスニーカーが登場しています。

「トリプル S」に続くダッドスニーカー「トラック トレーナー」は今季のテーマ、レイヤードを表現しており、靴紐も2本になっている。各¥109,080(予定価格)/ともにバレンシアガ(バレンシアガ ジャパンTEL:0570-000-601)

ニューバランス「M990v4」は、90年代後期のハイテクモデルがベース。¥29,160(税込)/ニューバランス(ユナイテッドアローズ 原宿本店TEL:03-3479-8180)

各メゾンからも、百花繚乱のダッドスニーカーが続々!

ラバー製のハトメや甲のストラップがアクセント。ボリューム感がインダストリアルなムードを漂わせる。¥112,100(税込)/プラダ(プラダ クライアントサービスTEL:0120-45-1913)

この春登場するやレトロフューチャーなルックスで大人気を博した「B22」の新色。イエローのアクセントカラーにリフレクターのコンビが超90's!¥129,600(税込)/ディオール オム(クリスチャン ディオールTEL:0120-02-1947)

最新技術を駆使した素材で履き心地は抜群。マルチ素材のアッパー、テクニカルな台形ソールをオールホワイトで上品に仕上げた。¥108,000(税込)/サルヴァトーレ フェラガモ(フェラガモ・ジャパンTEL:0120-202-170)

LA発の気鋭スポーツブランドとのコラボ。シグネチャーモデル「The AURA」をメゾンキツネのシーズンカラーで展開。¥35,640(税込)/ブランドブラック×メゾン キツネ(メゾン キツネ カスタマーセンターTEL:0120-667-588)

手作業のペイントでパンキッシュな表情に。ソールに「VLTN」の刻印入り。¥115,560(税込)/ヴァレンティノ ガラヴァーニ(ヴァレンティノ インフォメーションデスクTEL:03-6384-3512)

90年代を象徴するセンター分けヘアは、気軽にトレンドを取り入れられる究極の「こなし」。

70年代がヒッピー的ロングヘア、80年代はパンキッシュなショートヘアときたら90年代を象徴するのはスノッブなセンター分けヘアでしょう。当時の人気俳優を見れば、その人気ぶりは一目瞭然です。ハリウッドではブラッド・ピットを筆頭にキアヌ・リーブス、ジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオら、日本では吉田栄作をはじめ江口洋介や木村拓哉ら、ファッションリーダーとしても一目置かれた有名人が取り入れると、多くの若者が彼らのスタイルを真似しました。
当時のトレンドが復活するいま、同じ空気感の髪型が流行するのは自然の理です。旬の服装に難なくハマるし、逆にヘアスタイルだけで90年代ムードを醸しだせます。ある意味、究極の「こなし」かもしれません。

©Jerry Watson/Camera Press/AFLO

92年のブラッド・ピットのヘアをアレンジしたウェイビーなセンター分け。94年に大ヒットしたドラマ『若者のすべて』のキムタクもこのタイプ。前髪を上げるのでマスキュリンな印象。プルオーバー¥41,040(税込)/コモリ(ワグ インクTEL:03-5791-1501) Tシャツ¥10,044(税込)/コム デ ギャルソン・シャツ(コム デ ギャルソンTEL:03-3486-7611) サングラス¥18,360(税込)/ステューシー アイギア(ステューシー ジャパンTEL:0548-22-7366) 眼鏡につけたサングラスホルダー¥540(税込)(東急ハンズ渋谷店TEL:03-5489-5111)

©Photo/朝日新聞社/Getty Images

91年の主演ドラマ『もう誰も愛さない』が大反響を呼び、脚光を浴びた吉田栄作。サラサラヘアのセンター分けがトレードマークだった。このスタイルは額が隠れるのでジェンダレスな雰囲気を纏いたい人にお薦め。セーター¥205,200(税込)/ロロ・ピアーナ(ロロ・ピアーナ 銀座並木通り本店TEL:03-3572-0303) ゴローズの90'sオールドネックレス/私物

以上の記事は、Pen9/15号「FASHION ISSUE A/W 2018-19 1990's」特集からの抜粋です。
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