デヴィッド・ボウイ、YMOなど天才たちの輝ける“時”を刻んだ 写真家・鋤田正義の軌跡をたどる映画と写真展が同時開催。

  • 文:阿部博子

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ロンドン南部、ボウイの生誕の地・ブリクストンを訪れ、2016年に他界したデビット・ボウイが描かれた壁画『アラジン・セイン』をカメラに収める鋤田。 ©2018「SUKITA」Partners

「いまの時代のライブを写そう」。そう胸に誓い、2016年4月、国立代々木競技場第一体育館の布袋寅泰のコンサートで、ステージだけでなく客席にもカメラを向けて目を輝かせるひとりの男がいました。この映画の主役である世界的フォトグラファー、鋤田正義その人です。彼は、デヴィッド・ボウイをはじめイギー・ポップ、マーク・ボランら世界的なアーティストの一世を風靡するポートレートやアルバムジャケットを数多く撮影してきました。そんな彼の軌跡を追ったドキュメンタリー映画『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』が、18年5月19日から公開されます。

この5月で80歳。半世紀以上も第一線で活躍してきた鋤田は、いまもなお走り続けています。炭鉱の町・福岡県直方市に生まれ、高校時代に手にした初めてのカメラでは、夏祭りでの母の姿を捉えました。1972年に運命的に出会ったデヴィッド・ボウイとは40年以上も親交を結び、ひとりのスターを長く追いかけることをライフワークのひとつとしています。

国内においても、YMOや寺山修司、忌野清志郎ら時代を駆け抜けた天才たちの“永遠の一瞬”をフィルムに収めてきた鋤田。そんな彼が手がけた多彩な作品の数々には、各時代のほとばしるエネルギーが封じ込められているかのようです。映画公開と同時期には、彼の生まれ故郷である福岡県直方市の直方谷尾美術館で、個展『鋤田正義写真展 ただいま。』も開催されます。このドキュメンタリー映画と写真展からは、年齢を感じさせない旺盛な好奇心とチャレンジ精神、そして対象への温かな眼差しが伝わってきます。常に時代を見つめ、広く未来を視野に入れている彼のエネルギーに触れてみてはいかがでしょう。

鋤田が撮影したデヴィッド・ボウイ(右)、マーク・ボラン(上奥)、イギー・ポップ(上)。©2018「SUKITA」Partners

1977年、来日したイギー・ポップ(左)、デビッド・ボウイ(右)とともに写る若き日の鋤田(中央)。©2018「SUKITA」Partners

『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』

監督:相原裕美(コネクツ)
出演:鋤田正義、布袋寅泰、ジム・ジャームッシュほか
2018年 日本映画 115分
2018年5月19日より新宿武蔵野館ほかにて公開。
http://sukita-movie.com


『鋤田正義写真展 ただいま。』

開催期間:2018年4月3日(火)〜5月20日(日)
開催場所:直方谷尾美術館
福岡県直方市殿町10-35
TEL:0949-22-0038
開館時間:9時30分〜17時30分 ※入場は17時まで
休館日:月、4月21日(土) ※4月30日(月・祝)は開館
入場料:一般¥400(税込)
www.sukita.photo