「グッチ」があのロックバンドのツアー衣装に! こうしてファッションは広まっていく。

  • 文:高橋一史

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「グッチ」を着た、「サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ」のボーカル、ジャレッド・レト。(Courtesy of 30 Seconds to Mars)

ハイモードが世の中に大きな影響を及ぼすには、大衆の目に触れる機会が必要です。映画やドラマの中で使われた服、映画賞の式典で来場者が着ている服、セレブリティが自撮りしてSNSにアップした服は、ネット上で瞬時に世界中を駆け巡り、スマホの画面を通して我々が知るようになります。このように新しいファッションが広まっていくプロセスの中で、古くは20世紀半ばから絶大な力があるのが、ロックミュージシャンの服装。誰でも、憧れのミュージシャンが身につけた服や小物に関心を持ち、同じものを着た経験があるでしょう。

アレッサンドロ・ミケーレという特異な才能の元で、モード界に話題を提供し続ける「グッチ」は今年、アメリカのロックバンド、「サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ(30 SECONDS TO MARS)」のボーカル、ジャレッド・レト(Jared Leto)のツアー衣装を手掛けるようになりました。既製品と特別なデザインとが混在する衣装です。このバンドは、全4枚のアルバムセールスが500万枚を超えるビッグバンドであり、しかも3人のメンバーは全員がイケメン揃い。 中でもボーカルのジャレッドはハリウッド俳優でもあり、2013年の映画「ダラス・バイヤーズクラブ」では性転換で女性になった人物を演じてアカデミー助演男優賞を得たほど、演技力も認められています。ビンテージショップで発掘したような、パワーのあるグッチの服を着たステージでのパフォーマンスが輝きを放つのも納得です。

ジャレッドが作曲する音楽性も、シャウトする歌唱力も、音楽ファンから高く評価されるサーティー・セカンズ・トゥー・マーズ。彼らと関わり、「ディオール オム」、「サンローラン」など音楽と結びつきの強いブランドに並んだグッチが挑む、新たなフィールドにワクワクする思いです。

2017年6月15日のステージ。(Courtesy of 30 Seconds to Mars)

6月3日は、ミラノコレで発表された'17-'18年秋冬の服を中心にした着こなし。(Courtesy of 30 Seconds to Mars)

6月4日も、'17-'18年秋冬の服が中心。(Courtesy of 30 Seconds to Mars)

6月18日はコートが '17-'18年秋冬のもの。日によって次々に衣装を変えるのはさすが!(Courtesy of Getty)