革新のアイウエアブランド、「サフィロ」のデザインと歴史をひも解く。

  • 写真:フランキー・ヴォーン
  • コーディネート:坂本きよえ(STUDIO SAKAMOTO)

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サフィロがライセンスをもつ、「ジバンシィ」の最新のアイウエア。ほかにも30近くのブランドの、コレクションやファッションショー用のアイウエアを手がける。

イタリア・ベネチアのすぐ下に位置する都市、パドヴァ。この街で高級アイウエアブランドのサフィロは1934年に創業しました。いまや自社ブランドである「カレラ」や「ポラロイド」のほか、「ディオール オム」や「ジバンシィ」をはじめとするラグジュアリーブランドのアイウエアのライセンスビジネスでも成功を収めているこのメーカーは、誕生から80年以上経つ現在に至るまで、デザイン性を軸に置いて製品をつくり続けてきました。

創業者のグリエルモ・タバッチは、1878年創業のイタリアのメガネ工場を買い上げ、会社を設立しました。「サフィロ」という名前は、「イタリア眼鏡工場株式会社」の頭文字を取ったもの。サフィロやカレラの褪せないビジュアルが魅力的な、過去の美しい広告をまとめたブックも最近出版されました。アーカイブコレクションを集約したデジタルミュージアム(www.galleriasafilo.com)も公開中です

創業当時の本社。「イタリア眼鏡工場株式会社」の頭文字を取って「サフィロ」という名前に。

これまでのサフィロやカレラの広告をまとめたアーカイブブック。時代を反映したビジュアルが美しい。

数々の美しいアイウエアをつくり出す、パドヴァの工場へ。

今回、パドヴァの本社と工場を案内してくれたチーフ・プロダクトデザイナーのヴァルディミロ・バルディン。

世界に4カ国あるサフィロの自社工場のうち、要となるのは本社に隣接するパドヴァの工場。リサーチからプロトタイプづくり、仕上げから発送までが、すべてがここで行われます。

製品の原型となるプロトタイプづくりに関わる職人は52人。ひとつのプロトタイプをひとりの職人がすべて手作業で、4、5日かけて仕上げていきます。職人たちは隣町のベネチアにあるジュエリーの専門学校出身者が多く、彼らはジュエリーをつくるようなセンスと繊細さでアイウエアをつくり上げていくそう。そのようにして出来上がったプロトタイプはコンピューターで3Dに落とし込まれ、製品化への道をたどります。量産のために機械は使いますが、作業工程の多くはハンドメイドで行われるため、そういった職人たちの「味」が、完成形にも感じられます。

フレームの小さな金具をつくる際の溶接段階。まるでジュエリーをつくるように扱われている。

さらに、デザイン性のあるアイウエアづくりと並んで、人とアイウエアの関係をさらに便利にするような製品開発にもサフィロは力を入れています。スキーゴーグルなどが代表的な自社ブランド「スミス」では、テクノロジーを駆使したプロダクトを開発中。脳波や体温を測定する5つのセンサーを内蔵し、スマートフォンのアプリと連携させて自身のコンディションを測るというものです。

アイウエアのカスタマイゼーションとして、サフィロブランドからも特許技術であるバネ蝶番の新型を搭載したコレクションが近年発表される予定です。デザインや技術の革新を常に意識しているサフィロは、アイコニックなモデルや特許を数多く世に残してきました。このアイウエアブランドの躍進に、今後も目が離せません。

オリジナルブランド「スミス」の開発中のアイウエア。アプリと連動させて脳波や体温を測る。

現在のサフィロの本社。ここで毎年3000種類以上のアイウエアが製造されている。

問い合わせ先/サフィロジャパン
TEL:0120-54-7750 www.safilo-japan.com