俳優出身の写真家・高倉大輔による演劇的写真に注目!

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    代表作となった「monodramatic 'crowd'」。空虚な表情や演劇的な身振りに不気味さも漂う。

    一瞬で引き込まれる強いビジュアル力。同じ服を着た女性が大勢いる!と思いきや、よく見ると、ひとりの女性がいろいろな表情、動きをしているのです。まるで自分の中の多面性をあらわすような奇妙で非現実な世界をつくり出す、気鋭の写真家・高倉大輔の大阪での 初個展「monodramatic / loose polyhedron」が大阪で開催されます。

    1980年生まれの高倉大輔は、写真、デザイン、演劇を舞台にボーダーレスに活躍する多才なアーティスト。立教大学在学中に役者として演劇を始め、演劇のチラシづくりからデザインを手掛けるようになり、さらにデザインをするうちに写真表現に入り込んだそう。そのせいか、彼の写真には演劇的要素が色濃く出ています。

    代表作である「monodramatic」シリーズは一人芝居に着想を得た作品。まるで演技しているかのような表情、ポーズの女性が無数に増殖し、一人の中に存在するさまざまな自分を写し出しているかのようです。被写体には、俳優などのパフォーマーを起用し、高倉自ら演出をつけ、彼らの持つ多様な表現を引き出すように撮影したと言います。注意深く選ばれた衣装やロケーションの効果もあいまって、独特のミステリアスな雰囲気が漂います。

    一方、新作の「loose polyhedron」(緩やかな多面体)は、「感情のタイポロジー(類型学)」をテーマに、被写体の感情にフォーカスしたシリーズ。撮影前のモデルに喜怒哀楽のバランスチャートを記入してもらい、撮影したそれぞれの表情をチャートに従って画像合成していったそう。

    日常のスナップショットとは違う、緻密に計算され、つくり込んだ作風は、新たな写真表現として注目され、世界的な評価が高まっています。見慣れたはずの風景に演劇的な要素を持ち込む異化効果は際立っていて、写真を見ていると、ざわざわしてきます。(佐藤千紗)

    新作「loose polyhedron」。中央にフラットな状態の表情、背景に喜怒哀楽を表現した写真を合成。奥にいくほど普段強くあらわさない感情になっている。

    高倉大輔個展「monodramatic / loose polyhedron」

    開催期間:2016年9月2日(金)~24日(土)
    開業時間:12時~19時
    開催場所:TEZUKAYAMA GALLERY
    大阪市西区南堀江1-19-27 山崎ビル2F
    TEL:06-6534-3993
    休業日:日、月、祝日

    http://tezukayama-g.com/