広告写真やポートレートを中心に、見るものを射抜く、挑発的な写真を撮り続けてきた操上和美。実に80歳となるいまも、第一線に立ち、写真表現に対する飽くなき探求を続けています。同世代のコシノヒロコは、近年ファッションデザイナーだけでなく、アーティストとしても国内外で活躍。旧知のふたりによる写真と油彩画のコラボレーションがKHギャラリー銀座で開かれます。

操上はソラリゼーションという技法を使った新作シリーズを発表。ポジとネガを反転させた、鮮やかな彩色のプリントは、現実に見えている世界とは別の姿を露にします。それは通常のプリントよりも、写真家の心情を色濃く映し出した写真とも言えます。カラフルでありながら、どこか憂いのある写真に、はたして、どんな心模様が塗り込められているのでしょう。

一方、コシノヒロコは、まっさらのキャンバスに、黒の油絵具で描いたラインを、 揺らぎを与えながら反転させるという、オリジナルの手法によって生まれた新作油彩画を展示。一瞬の直感で捉えた美は、写真にも通じる感覚です。

経験を積み重ねて来たふたりが見せあう新境地。どんなセッションとなるか楽しみです。（佐藤千紗）