最新号『幸せな結婚』特集の巻頭で、世界の結婚事情を探るページがあります。国ごとに“結婚”の概念が違うのはなんとなくわかっていても、いざ活字で読むと、特に隣国中国の事情があまりに日本のものとかけ離れていて、驚いた読者も多かったことでしょう。浮気や不倫は国籍に関係なく存在し、結婚は決して安泰なものではないのは万国共通ですが、特に中国ではなかなかに理解に苦しむ現状があるようです。
映画『二重生活』でも、大学の同級生と幸せな結婚をし、娘にも仕事にも恵まれた夫が、浮気を繰り返しています。しかも、そのうちのひとりを孕ませ、男の子を産んだその女性とは、本妻に内緒で二重生活を送っているのです。蜘蛛の糸で吊るされたような繊細な安定を二重生活は保っていたのですが、ある事件によって一気にガラガラと崩れてゆきます。そのさまに、中国の人たちは多くのシンパシーを感じるのではないでしょうか。
本作の欧文タイトルは「ミステリー」です。それは、スリリングな展開やラストシーンでの演者たちの言動が、中国カルチャーというバックグラウンドを持たない人にとっては、理解に苦しむ、永遠の謎として、映像とともに波のように押し寄せるからなのです。現代中国社会のダブルスタンダードという精神構造、一人っ子政策の弊害、被害者に対する世論の扱いなど、さまざまな現実が背景に絶妙に織り込まれていて秀逸。(Pen編集部)
映画『二重生活』でも、大学の同級生と幸せな結婚をし、娘にも仕事にも恵まれた夫が、浮気を繰り返しています。しかも、そのうちのひとりを孕ませ、男の子を産んだその女性とは、本妻に内緒で二重生活を送っているのです。蜘蛛の糸で吊るされたような繊細な安定を二重生活は保っていたのですが、ある事件によって一気にガラガラと崩れてゆきます。そのさまに、中国の人たちは多くのシンパシーを感じるのではないでしょうか。
本作の欧文タイトルは「ミステリー」です。それは、スリリングな展開やラストシーンでの演者たちの言動が、中国カルチャーというバックグラウンドを持たない人にとっては、理解に苦しむ、永遠の謎として、映像とともに波のように押し寄せるからなのです。現代中国社会のダブルスタンダードという精神構造、一人っ子政策の弊害、被害者に対する世論の扱いなど、さまざまな現実が背景に絶妙に織り込まれていて秀逸。(Pen編集部)
“映画界の詩人”と称されるロウ・イエ監督が、中国大手BBSサイトに投稿された夫の浮気に苦しむ女性の実話をヒントに作り上げた。第65回カンヌ国際映画祭ある視点部門のオープニング作品として上映され、観客を驚きと衝撃の渦に巻き込んだ話題作。
『二重生活』
監督:ロウ・イエ
出演:ハオ・レイ、チン・ハオほか
2012年 中国、フランス映画 1時間38分 配給:アップリンク
1月24日(土)~新宿K’s cinema、渋谷アップリンクほか全国順次ロードショー
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