キスもハグもできないミラネーゼ、心の慰めはグルメなデリバリー【コロナと闘う世界の都市から】

  • 文:坂本きよえ
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MILANミラノ

キスもハグもできないミラネーゼ、心の慰めはグルメなデリバリー【コロナと闘う世界の都市から】

文:坂本きよえ

「イージニオ・マッサーリ」から届いた、ヘーゼルナッツとカカオのホールケーキ「ジャンドゥイア」(33ユーロ)と、ブリオッシュ生地で生クリームをサンドした「マリトッツォ」(2個で8ユーロ)。20年5月現在、1回の購入につき合計金額から1ユーロが新型コロナウイルスと闘う医療機関へ寄付される仕組みに。photograph by Kiyoe Sakamoto

約2カ月にわたり閉鎖の続いたミラノの街も、2020年5月18日現在、外出が少し許されるように。一時はすべての店が閉まりゴーストタウン化していたが、ミラネーゼはソーシャルディスタンスを守りながら、通常の生活に一歩ずつ近づく努力を始めている。外出時にはマスクと手袋着用がマストで、他人との距離を1〜2m取るようにといわれているが、愛情たっぷりのイタリア人は、友人にキスやハグができないのは地獄の日々だと嘆く。

そんな人々にとって、唯一の楽しみはデリバリー。なかでも、5月初旬にスタートし高級グルメを中心に生花、化粧品までを扱うサイト「コーザポルト」がいま、大人気だ。ミラノで大人気のベーカリー「ダヴィデ・ロンゴーニ」の朝食セットから星付きレストラン「アイモ・エ・ナディア」の姉妹店「ヴォーチェ」のランチセット、普段は即・完売でなかなか買うことのできない菓子店「イージニオ・マッサーリ」のケーキなど、おいそれとは手に入らなかった逸品がウェブで予約でき、日時を指定すれば家まで届くという食いしん坊にはうれしいシステム。外出はままならなくても、胃袋は大満足なのだ。