ブランドの歴史を塗り替える、 「ベルルッティ」のキャンバススニーカー

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    NEWSな服&小物

    Vol.33写真:安達紗希子(CROSSOVER) 文:今野 壘

    ブランドの歴史を塗り替える、 「ベルルッティ」のキャンバススニーカー

    オーセンティックなバスケットシューズを思わせるミニマルなフォルムと、繊細な淡いトーン。重厚な質感のレザーシューズとは対照的ながら、漂う品格はやはりフランスの名門ならでは。大人の足元の選択肢に、新たな可能性を与えてくれる意欲作。

    パブロ・ピカソやアンディ・ウォーホルなどのアーティストにムッシュ・イヴ・サンローランといったモードの大家、果てはローマ法王にいたるまで、長い歴史の中でベルルッティの愛用者には錚々たる面々が名を連ねている。彼らを虜にしたのが、メゾンの本懐である最高品質のシューメイキングであることは明白だ。だからこそ、ここでフォーカスした一足を見て意外に感じる御仁も少なくないだろう。厚めのラバーソールにコットンキャンバスのアッパー、8ホールのハイカットというフォルム。十八番のレザーシューズではなく、スニーカーなのだ。

    アッパーの柄はベルルッティを代表するアイコンのひとつ、スクリットをマルチカラーにアレンジしたもの。撥水性も備えた軽やかなコットンキャンバスは、パティーヌが冴えるヴェネツィアンレザーとはまた違った魅力を感じさせてくれる。

    外装はコットンキャンバスだが、ライニングやフットベッドなどの素足に近い部分には上質なカウレザーを採用。機能性を大切にしながら、見えない部分に高級素材を使うあたりもクールだ。カップインソールなので、クッショニングも良好で歩きやすさも格別。

    1895年に創業したベルルッティがスニーカーを初めてリリースしたのは2014年と、確かにブランドの歴史においては最近のこと。ではメゾンの中ではスニーカーはキーアイテムになり得ないのかといえば、実はそうではない。プレイグラウンドと呼ばれる専用の木型によって高いフィット感とストレスフリーな履き心地を両立させ、アッパーのキャンバスにはメゾンのアイコンとなったスクリットをグラフィカルに配していて、レザーライニングに象徴されるように、使用している素材はいずれも最高級……と、こだわりを挙げれば枚挙にいとまがない。つまり、125年間ベルルッティが培ってきた、ものづくりの美学がしっかり集約されているのだ。それでいて、ルックスは現代のエッジなハイカジュアルよろしく洗練されているあたりは、クリエイティブ・ディレクターのクリス・ヴァン・アッシュの辣腕の証左といえるだろう。

    アウトソールには、ブランドイニシャルや出自を表すレタリングをポップなフォントであしらっている。歩行時にチラリと覗くさりげない遊び心はハイセンスだ。もちろん、グリップ力もしっかりと担保されている。

    パリが世界に誇る老舗メゾンにありながら、歴史の重みだけでなく斬新なクリイティビティも同居した、まさに革新的なプロダクトだ。このメゾンが偉人たちに愛されてきたのは、いつの時代も彼らの足元に最高品質と真新しさを添えてきた結果に他ならない。その系譜の先端たるものの真価を知らずして、ベルルッティのシューズは語れない。

    ベルルッティ「プレイグラウンド スクリットキャンバスハイカットスニーカー」

    【価格】¥139,700(税込)
    【素材】コットン、カウレザー
    【問い合わせ先】ベルルッティ・インフォメーション・デスク
    TEL:0120-203-718