少女性と妖艶さを併せもつロック娘に誰もが夢中。中嶋イッキュウインタビュー

  • 写真:廣瀬順二
  • 文:佐野慎悟

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少女性と妖艶さを併せもつロック娘に誰もが夢中。

写真:廣瀬順二 文:佐野慎悟

vol.20
中嶋イッキュウ
ミュージシャン

タクシーから降りてライブハウスへと向かう、上下真っ黄色のイッキュウさん。オリジナリティあふれる独特のファッションセンスも人気で、彼女が手がけるアパレルブランド「スース バイ イッキュウ ナカジマ」のアイテムは常に入手困難となっています。

海外でも高い人気を誇る日本のロックバンド、tricot(トリコ)でボーカルギターを務める中嶋イッキュウさんは、音楽活動のかたわらファッションブランドも自身で手がけるマルチクリエーター。別バンドのジェニーハイでは、小籔千豊、川谷絵音、新垣隆、くっきーら異色のメンバーの中で、紅一点の華を添えています。

渋谷にあるライブハウス、TSUTAYA O-EAST前に上下黄色のカジュアルな出で立ちで現れた彼女は、大舞台を前にしてかなりリラックスした雰囲気です。この日は、tricotが約2年ぶりに開催したワンマンツアー“大反射祭ツアー”のファイナル。

「今日は平成最後のライブになりますし、ファンのみなさんに報告がひとつありますし、自分にとって節目の日になると思います」とイッキュウさん。

今回の「#バズ美女」では、そのライブの舞台裏に潜入。彼女の飾らない素の表情からステージ上で見せるカリスマ的なパフォーマンスまで、余すところなく激写してきました。

楽屋に入るやいなや、なぜか半紙、スズリ、毛筆と、書道セット一式を取り出したイッキュウさん。ツアースタッフやバンドメンバーが固唾を飲んで見守る中、真剣な面持ちで書をしたためていきます。

墨が乾いたらすぐに、ブレザーを羽織って別室で撮影。実はこれ、結成から約9年の間、一貫してインディペンデントな活動を続けてきたtricotが、ついにメジャーデビューを果たすという一大ニュースをこの日初めて公表するための写真撮影だったのです。tricotは、エイベックス内のレーベル、カッティングエッジ内にプライベートレーベルを設立。そして今年9月には、メジャー1stシングルのリリースが決定しているそうです。それにしてもこの絵面、なんだか見覚えが……。

撮影が終わったら、すぐにステージへと移動してサウンドチェックとリハーサルを開始。みっちり2時間続くリハーサルでは、音響や照明の演出などを綿密に調整していきます。

ロンTにスパッツ姿でリハーサルに挑むイッキュウさん。ここでもロンTの色は真っ黄色。フロアに敷いたマットの上で、リハの合間にヨガのポーズをしてリラックスする場面も。

リハが終わり、メンバーは楽屋に戻っていよいよ本番の準備に入りました。会場では客入れが始まり、期待と緊迫感が入り混じった、独特の張りつめた空気が流れています。

ついに楽屋のドアが開き、メンバーがステージへと続く通路に出てきました。さぞや緊張感を張り巡らせているかと思いきや、カメラマンを見つけてこのポーズ。「いやー! やめてー!」とか言いながらも、カメラの前で何度もポーズしてくれました。

大きな歓声の中ステージに上がったイッキュウさんは、バックステージでのおちゃらけた表情から一変。まるでロックの神に取り憑かれたような、凄まじい存在感を放ち出しました。かき鳴らすギターの轟音と変幻自在な歌声で、会場のボルテージは一気に最高潮まで引き上がります。

ときに少女のように、ときに妖艶に、ときに優しく、そしてときに力強く……。イッキュウさんの歌声と演奏は、ライブで目の前にするとさらに惹き込まれます。

「ジェニーハイは、バンド活動だけでは出会えなかった人や、経験できないことに出会えて成長できる場所。tricotは、いつも帰ってくる家。あって当たり前だし、なかったら苦しくなってしまいます」とイッキュウさん。

会場では、観客の頭上を転がる“ダイブ”も頻発し、曲を追うごとにものすごい熱量が発生していきます。変拍子を連発する爆音ロックサウンドに合わせて、観客も上下左右に激しく揺れ動き、会場全体がひとつの生命体になったようです。

ライブパフォーマンスが最もアグレッシブなのは、ギターのキダ モティフォさん(左)。イッキュウさんとキダさんは、同じ高校の軽音楽部に所属していた先輩(キダ)と後輩(イッキュウ)の関係。とはいえ、生まれはたったの2カ月違い。演奏中も合間のMCでも、息の合ったかけ合いを披露してくれます。この間にベースのヒロミ・ヒロヒロさんは、ステージから観客目がけてダイブ。ファンの頭上を転がりながら、迫力の演奏を見せつけました。

ライブは終盤に差しかかり、最後の曲ではステージ上に崩れ落ちながら演奏する全力のパフォーマンスも。全国のライブハウスを巡ってきたワンマンツアーは、すべての公演がソールドアウト。毎回このテンションでパフォーマンスしてきたtricotは、最後の夜の最後の一曲まで、持てる力をすべて出し切りました。

ライブが終わって、メンバー全員で記念撮影。左から中嶋イッキュウさん(ギターボーカル)、吉田雄介さん(ドラム)、ヒロミ・ヒロヒロさん(ベース)、キダ モティフォさん(ギター)。ライブのあとしばらくの間耳鳴りが止まなかったのは、スピーカーの真横で演奏を聴いていたからなのか、もしくはステージ上での神がかった姿とおちゃらけ姿の高低差からなのか、いまとなってはもうわかりません。ただひとつ言えることは、tricotのライブは、最っ高に楽しいということ。メジャーになっても、この自由で愉快な雰囲気はぜひとも貫き通してほしいものです。

Q1
好きな男性のタイプは?
A
発想が豊かで色気のある声が変な人。芸能人で例えるなら大山のぶ代時代のドラえもん。
Q2
好きな男性のファッションは?
A
ヨーロッパよりはアメリカ。
Q3
よく行くお店は?
A
Amazon
Q4
好きな食べ物は?
A
梅おにぎり
Q5
趣味は?
A
絵を描いたりデザインしたり妄想したり。
Q6
好きな休日の過ごし方は?
A
キャンプ。または海外ドラマを見狂う。
Q7
好きな音楽は?
A
自分が作った曲 。理由→最高
Q8
特技は?
A
大外刈り
Q9
好きな本は?
A
『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』。朝昼晩ピザだけを食べ続けて一気に10キロ太った時に読んで食生活の大事さを知った (体重戻りました!)
Q10
好きな映画は?
A
『白雪姫』。80年以上前の映画なのに新しさを感じるし、かなり美しいから。
Q11
身長は何cm?
A
169.5cmでしたが小顔矯正に行って施術後171cmになっていました。
Q12
好きなお酒は?
A
梅酒。めっちゃおいしいから
Q13
自分は犬系女子、猫系女子?
A
犬! 鹿っぽいと言われるので。
Q14
インスタグラムで反響が大きかった投稿は?
A
TENGAを大量に持った写真。
Q15
自撮りする時に気をつけていることは?
A
なるべくマインドを長澤まさみに近づける。