先輩、秘密は“魔界転生”ですか!? マセラティのSUV、レヴァンテで人生の経験値を魅力にSWITCH!

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    東京車日記いっそこのままクルマれたい!

    第68回 Maserati Levante S / マセラティ レヴァンテ S

    先輩、秘密は“魔界転生”ですか!? マセラティのSUV、レヴァンテで人生の経験値を魅力にSWITCH!

    構成・文:青木雄介

    編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

    サイドビューはそのまま車高を下げて、サルーンにしたくなる美しさ。価格のわりに、オプションで付けられるアダプティブクルーズコントロール(前車追従システム)などの先進のアシスト装備が充実しているのでバリューは高い。この秋には待望のV8モデルが上陸予定。

    いよいよ今年は、イタリアのスポーツカーメーカーのSUVが、次々と日本に上陸するわけです。アルファ ロメオのステルヴィオに、弩級のスーパースポーツSUV、ランボルギーニのウルス。興味はやっぱり、「あのブランドの走りの味は、SUVにどう活かされるのか?」というところに尽きるよね。その点、既に日本導入されているマセラティのSUV、レヴァンテは先行車種として見逃せない存在。フェラーリのエンジンを搭載したイタリアの名門ブランドのSUVは、車格や価格に差こそあれ、イタリアンスポーツの世界観をSUVに表現した意味で一日の長がある。実際、マセラティがSUVの開発に取りかかったのも他メーカーに先駆けて早かったんだ。

    そんな「レヴァンテ先輩」に乗ってみよう。ボルドーの赤い本革シートに、Cピラーに映える“トライデント(ネプチューンの三叉槍)”に、なにより「その気にさせられる」って感じ。嗚呼、マセラティですよ。クラシカルなデザインにどこか陰のある高級感、その佇まいはさすがだよね。超が付く大型フロントグリルの中には、可変式のフラップが迫っていて、奥に鎮座するフェラーリ製のV6ツインターボを御簾越しに眺めるようだ。エンジンをかけてモードをスポーツに入れると、車内は低くて乾いたアイドリング音に包まれ、周囲にはSUVらしからぬレーシーな排気音が響き渡っている。走ってみると、スポーティな大型SUVとしては申し分なし。ただマセラティのスポーツカーにあってほしい、危険なタナトスの匂いはほとんどしないんだな。

    4輪駆動で430馬力をいつでも解放することができて、恐ろしく速い。でも限界を見たいって気にはならないんだよね。理由は、スカイフックサスペンションに5段階の車高調節が可能なエアサス型ダンパーを組み合わせた足回りにある。全路面コンディションに対応できる足回りが、ロングツアラーに最適。これは本当によい足回りで、特にジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画よろしく、イタリアの片田舎を快走しつつ人生を回想みたいな走りに最高だったわけ(笑)。そこははっきりと「SUVだから」という線引きがされている気がしたし、成熟したイタリアのクルマ文化とも感じられる。SUVにもポルシェらしさを追求するカイエンなどとは、目指す場所が違っていて興味深かったね。

    そんなレヴァンテに乗ると、「フェラーリはSUVには手を出さないだろう」って気もした。車体はフルサイズだし、車重も2tを超える。フェラーリにしてみれば「SUVは兄弟に任せた」って感じだろうし、仮にギブリに相当するような中型のSUVをマセラティで出したなら、もうフェラーリが出す理由はなくなっちゃうよね。タナトスの匂いがほしければフェラーリで、余裕を楽しみたければマセラティでと、セグメントが成立しちゃうわけ。もともとマセラティは、年齢を重ねていよいよ深みを増していく、俳優の真田広之さんみたいな人が似合う。レヴァンテに限らずマセラティが似合う御仁って、年齢を増すごとに魅力が倍増する魔力がある。それって人間として、イタリア人度が高いってことなのかもしれないけどね(笑)。

    マセラティ レヴァンテ S
    ●エンジン:3.0ℓ V型6気筒ツインターボ
    ●出力:430PS
    ●トルク:580Nm
    ●トランスミッション:8速AT
    ●車両価格:¥13,695,000(税込)~

    問い合わせ先:マセラティ コールセンター
    TEL:0120-965-120
    www.maserati.co.jp