美しく正確な時を刻む、究極のクオーツ時計。

  • 文:並木浩一

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GRAND SEIKOグランドセイコー

美しく正確な時を刻む、究極のクオーツ時計。

岩崎 寛(STASH)・写真
photographs by Hiroshi Iwasaki
並木浩一・文
text by Koichi Namiki

クオーツの腕時計は1969年、セイコーがはじめて世に出し、腕時計の概念を変えたマイルストーンである。当時、機械式で争われていた精度競争は一気にステージを変え、セイコーは世界を席巻した。 

機械式が高級腕時計の市場で復権してからも、「セイコーのクオーツ」の地位は不変である。クルマが買える値段だった最初のクオーツ誕生時と変わらず、最高級クオーツに真正面から取り組めるブランドは数少ない。そのセイコーが今年、プライドをもって登場させた新作がグランドセイコー「SBGV238」だ。究極のクオーツを目指して1993年に開発されたムーブメント「キャリバー9F」の25周年を記念した、特別精度の数量限定モデル。2種のうち、華やかなゴールドとのコンビで装うバージョンである。 

四半世紀前に生まれた「9F」は、セイコー自身の手で徹底的にリファインしたグランドセイコー専用機種である。太い時分針、ふらつきのない秒針、カレンダーの瞬間送りなど、クオーツの苦手分野を完全に克服した。誇らしいムーブメントは、裏蓋で覆われていても、ゴールド色で仕上げられている。「SBGV238」ではその精度を本来の年差±10秒から年差±5秒まで一気に高め、さらにシースルーバックで可視化している。6時位置のファイブ・ポインテッド・スター、文字盤の「GS」「9F」の地模様、25分位置の隠し文字も、特別なモデルの証拠だ。 

高い精度を達成する最良の手段としてのクオーツを徹底的に磨き上げ、機械式も含むハイエンドブランドであるグランドセイコーから発表された限定モデル。すべての腕時計の過去と現在を決算した上で、一本の腕時計が世に問われた。こだわりと呼ばれるファクトファインディングへの飽くなき追求は、日本人のDNAそのものに重なるのではないか。だとすればその腕時計は間違いなく、最高のグランドセイコーにほかならないのである。



SBGV238

クオーツ、SS+18金イエローゴールドベゼル、ケース径40㎜、年差±5秒、文字盤に「GS」「9F」を型打ち+25分位置に「9F25」の文字、シースルーバック、裏蓋に記念の文字とシリアルナンバー、100ⅿ防水、世界限定600本。¥540,000(税込)
グランドセイコー専用フリーダイヤル TEL:0120-302-617