【らしく、美しく暮らす──。】Vol.1 実業家・野尻佳孝が語る、「白金」という特別な場所。

  • 写真:杉田裕一
  • 文:小久保敦郎

Share:

26歳で創業したブライダル企業に続き、近年は都心部に2つのブティックホテルを開業するなど、活躍の場を広げている実業家の野尻佳孝さん。東京で生まれ育ち、ビジネスを展開する野尻さんにとって、「白金」はどのような場所なのか。当時のエピソードを交えて、その魅力を語ってもらった。

東京の白金に2023年竣工予定の都市型タワーレジデンスを展開する、旭化成不動産レジデンス×ワールドレジデンシャル。コンセプトは「らしく、美しく」。この連載企画では、その地に縁のある方に登場いただき、この特別なエリアの文化的な背景と、街の魅力をひも解いていく。第1回は、東京で生まれ育った実業家の野尻佳孝さんが語る「白金」。白金は野尻さんにとって若い頃から印象的な街であり、その後仕事でもつながりをもつようになったという。昔の思い出から未来の展望まで、お話を伺った。

高感度な大人が集う、エレガントな憧れの街。

野尻佳孝(実業家、テイクアンドギヴ・ニーズ代表取締役会長、TRUNK代表取締役社長)●1972年、東京都生まれ。98年、26歳でテイクアンドギヴ・ニーズを設立。2001年にナスダック・ジャパン(現 ジャスダック)に上場、06年には東証一部指定。16年にTRUNKを設立し、翌年TRUNK(HOTEL)を開業。

野尻佳孝さんが「街」としての白金を意識したのは、中学2年生の時。その頃、仲間と自分たちらしく遊べる場所を探すため、都内のいろいろな街を見て回ったという。

「最終的に選んだのは渋谷でしたが、遊び場所を探しながら街の特徴を学びました。当時はバブル景気の全盛期。たとえば六本木はお金持ちの大人ばかりいて、中学生の自分にとっては居心地が悪かった。白金で印象的だったのは、エレガントさ。まず、イチョウ並木のプラチナ通りが美しい。その通り沿いにテラス付きのカフェがあり、人々が優雅に寛いでいる。カフェがブームになる前に、パリのような雰囲気がありましたね。白金はランクがひとつ上の、憧れの街でした」

街路樹のイチョウ並木が道行く人の目を楽しませる「プラチナ通り」。通り沿いや周辺には一流との呼び声が高い飲食店が数多く集まることから、“食通通り”とも呼ばれる。
江戸時代には大名屋敷、その後は財界の要人などの邸宅が点在していた白金エリア。この「三光坂」周辺には、そのような往時の名残を留めたような景観が残された場所もある。

野尻さんが語る、そのカフェ&ダイニングとは「ブルーポイント」。惜しまれつつも昨年閉店したが、長年にわたり白金のランドマーク的な存在だった。

「バブル景気の頃は、スポーツカーに乗って、上質な店で食事をするのがステータスでした。そんなスタイルを求めていた大人は、ブルーポイントに通っていた。見ていると、店の目の前にクルマを停めたいから、場所が空くまでプラチナ通りを何往復もしていたりする(笑)。実際、芸能関係やクリエイティブな人たちが店に集まっていました。ブルーポイントができてから、プラチナ通りに飲食の名店やライフスタイルショップが集まり始めて、華やいだシーンをつくり出した。白金にとって、重要な役割を果たした店だったと思いますね」

2014年当時の「ブルーポイント」。20年5月に閉店するまで30年以上もの間、白金を象徴するカフェ&ダイニングとして多くの人たちに愛されてきた。

26歳で起業し、ハウスウエディングを国内に広めた野尻さん。2020年にはプラチナ通り沿いに「アーフェリーク白金」をグランドオープンし、ビジネスでも白金との縁がある。なぜ、白金の地を選んだのか。

「ハウスウエディングの結婚式場をつくる際、場所選びにはひとつのイメージをもっています。それは、自分たちが住むとしたら理想的な場所であること。だから繁華街ではなく、高級住宅地であることが条件になります。そうなると都内でも場所は限られてきますが、三光坂を含めた白金エリアはそのひとつ。土地のオーナーからお声がけいただいたので、ぜひやらせてほしいと開業を決めました」

白金は「遊ぶ場所としても、暮らす場所としても理想的」だと野尻さんは語る。

緑豊かな環境と、数々の名店を巡る楽しみ。

2017年に開業した渋谷のTRUNK(HOTEL)にて。「白金は緑の多い住宅地で、大型の商業施設もない。都心に残されたオアシスのような場所ですね」と語る野尻さん。

では野尻さんにとって、白金でお気に入りのスポットはどこなのかを聞いてみた。

「東京都庭園美術館は大好きですね。企画展も楽しみですが、そもそも建物自体が歴史的建造物で、国の重要文化財にも指定されている。アールデコ様式が美しく、館内随所で貴重な作品を目にすることができます。庭園もすごく広い。費用対効果はとても高いと思います。近くに住んでいたらちょくちょく行って、癒やされているでしょうね(笑)」

プラチナ通りのイチョウ並木もそうだが、白金は木々が多い街だと言われる。

「隣接する国立科学博物館 付属自然教育園も含め、東京都庭園美術館は緑豊かな白金を象徴する施設だと思いますね」

周囲を木々に囲まれた「東京都庭園美術館」。本館の旧朝香宮邸が国の重要文化財に指定されている。庭園は芝庭と日本庭園、西洋庭園からなる3つのエリアがあり、レストランを併設する。photo : (c)FUSAO ONO/SEBUN PHOTO/amanaimages

白金には一流の飲食店が点在しており、食通が足繁く通う街でもある。

「昔からの行きつけは、蕎麦屋の利庵。昼時によく並んだものです。ミシュラン3つ星のカンテサンスはかつて白金に店があって、その後に居抜きで入ったのはティルプス、そしていまの長谷川稔 ラボと、いずれもフランス料理の超人気店が引き継いでいます。中華料理のシノワは、オープンして1年も経たずにミシュラン1つ星を獲得しました。また昨年できたばかりのエスコミートは、群馬県産の増田牛専門の精肉店。増田牛は本当においしい牛肉なので、電話で予約しては買いに行っていますよ」

飲食店に限らず、白金には魅力的なショップも多い。

「ライフスタイル系だと、やはり複合型セレクトショップのビオトープでしょう。ナチュラルでサステイナブルな感じがいいですね。最近はフランフランの新業態であるアロウブがオープンしました。マス向けの広告戦略ではなく、感度の高い人をうまく呼ぶようなマーケティングをしている。そんな隠れ家的な演出をする、通好みの店が白金には多いのかもしれません」

「ビオトープ」はライフスタイルからファッション、ボタニカルなどを提案する複合型セレクトショップ。3階には緑を眺めながら過ごせるカフェ&レストランがある。
「エスコミート」は野尻さんお気に入りの精肉店。群馬県産黒毛和種の増田牛を半頭買いし、店内でカットして販売。抗生物質などの薬剤を投与せず、自然のまま健康的に育てた牛にこだわっている。

エレガントで、感度の高い大人が集う街──。そんな白金がもしこれから変わるとしたら、こうなってほしいというイメージが野尻さんにはあるという。

「今後、私たちの健康意識はますます高まっていくでしょう。それを街ぐるみで取り組んでいく。もともと白金は、都心とは思えないほど緑が多い住宅地。そこにスポーツジム的な設備や有機菜園など、健康に関わる施設を拡充していく。いまはテクノロジーを駆使すれば、バーチャルでの運動体験や屋内での野菜づくりなど、限られた空間でもたいていのことは実現できます。そうなると健康意識の高い人たちが集まってきて、さらにインテリジェンスの高い街になる。そんな可能性をもつエリアは、都心部では限られていますが、白金はその筆頭でしょう」

健康へのサポートが充実し、住んでみたくなる街。野尻さんは、これからの時代に求められる理想的な街の姿を白金に重ね合わせているようだ。やはり白金は洗練された特別な場所で、「らしく、美しく」というフレーズが似合う街なのだろう。

アトラスタワー白金レジデンシャル

所在地:東京都港区白金1-343-16(地番)
交通:東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪」駅徒歩3分
構造・規模:鉄筋コンクリート造、地上23階、地下1階
総戸数:94戸 ※非分譲住戸29戸、単独分譲住戸4戸含む
間取り:1DK~3LDK
専有面積:33.38~114.12㎡
竣工予定:2023年9月中旬(予定)

※掲載の情報は2022年3月現在のものです。専有面積や間取り、共用施設、スケジュールなどは、今後変更となる可能性があります。

※連載インデックスページに戻る

問い合わせ先/アトラスタワー白金レジデンシャル
TEL:0120-982-562
www.afr-web.co.jp/atlas/mansion/shirokane/concept/index.html