アーティスト・村松亮太郎が語る、新しい生活様式がもたらしたクリエイションと社会の関連性とは。

  • 写真:杉田裕一
  • 文:遠藤 匠

Share:

  • Line

2020年4月から全面施行された改正健康増進法により、オフィスや公共の場における喫煙のあり方が変わった現在。成人喫煙者とともに心地よく過ごせる社会とはどんなものなのか。自身の喫煙スタイルの変化を通して、アーティストの村松亮太郎さんに語ってもらった。

村松亮太郎(アーティスト、NAKED, INC.代表)●俳優活動を経て、1997年にクリエイティブカンパニーNAKED, INC.を設立。映画、TV、広告、MVなどの映像制作に加え、空間演出も手がける。主な作品に東京駅の3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』のタイトルバック、「第12回渋谷芸術祭2020~SHIBUYA ART SCRAMBLE~」のメインインスタレーション『Breath / Bless Project』などがある。

健康増進法の改正によって、望まない受動喫煙を防止するための配慮がマナーからルールに変わり、カフェやレストランなどの飲食店では原則的に喫煙できないようになった。だが、一定の条件を満たすことで喫煙専用室を設けることができる(※)。喫煙スタイルにも“ニューノーマル”が求められる時代。こうした変化の中で、煙やニオイを抑えながら満足感を得られる加熱式たばこが、新しい選択肢として注目を浴び、喫煙所や専用室で使用できることからも浸透しつつある。果たしてクリエイターは、こうした喫煙スタイルの変化をどう受け止めているのだろうか。アーティストでクリエイティブ集団、NAKED, INC.を率いる村松亮太郎さんに話をうかがった。


※都道府県や市区町村が改正健康増進法以外に独自に喫煙ルールを定めている場合があります。

アート活動や企業活動も、より社会との関わり方が重要視される。

「加熱式たばこに切り替えることで、非喫煙者が感じていることが感覚としてわかるようになった」と話す村松さん。紙巻たばこではどうしても発生してしまう煙やニオイで、誰かを不快な思いにさせていたのかもしれない。そんな気づきが周囲への配慮に自然とつながったようだ。

かつては両切りの紙巻たばこを好み、歳を重ねていく中でフィルター付き紙巻たばこ、低タール・低ニコチンたばこへと移行し、現在は加熱式たばこを愛用している村松さん。こうした移り変わりの過程で、喫煙に対する考え方も変わってきたという。

「低タール・低ニコチンの紙巻たばこを経て、加熱式たばこに切り替えた段階で、まずニオイが気になり始めましたね。同時に、紙巻たばこの煙ってやっぱりすごかったんだな、ということも感じました。要は切り替えたことで、加熱式の利点が見えてきたわけです。もちろん紙巻特有のあの燃えている感覚は脳裏に焼き付いていて、未だにそれは好きなもの。でも、それを勝るような加熱式たばこのメリットを感じるようになりました。そうなると吸わない人からしたら、これまでの紙巻たばこのように煙やニオイを出していたらさぞかし不快だったのだろうと思うようになりました。自分の身体のことを考えて始めたことが、結果として社会性を考えるようなマインドになっていったんです」

音楽に身をゆだねるひと時はリラックスタイムではあるが、思索にふけりながら次の作品のヒントを見つける時間でもある。年代別に揃えたジャズやロックの名盤と言われるアルバムは、マークレビンソンのパワーアンプやJBLのスピーカーといった歴史あるオーディオセットで視聴する一方、最新のネットワークオーディオでの音楽視聴も楽しんでいるとのこと。

そんな変化を感じながら加熱式たばこを愛用している村松さんだが、そもそも喫煙というものは、自身の創作活動においてどのような位置付けなのだろうか。

「僕がやっていることは、アートにしてもプロジェクションマッピングにしてもモノをつくる仕事なので、やはり思いを巡らす時間というものが必要。そういった時間をつくる上で欠かせないのが、嗜好品の存在です。僕にとってたばこは、広い意味での嗜好品。コーヒーを飲むことや音楽を聴くこともすごく好きなのですが、これらもやはり僕にとっては嗜好品に近しい感覚のもの。音楽だってただ単に聴くだけではなくよりよい音で聴きたいし、コーヒーだって香り高いものを味わいたいと思う。同じように、たばこも心地よく楽しめるものを求めてしまう。その感覚は、僕が好きな嗜好品に共通するものですね。もちろん、ルールやマナーなき喫煙は周囲の迷惑になるので一概には言えませんが、こうした嗜好品はなにかしら豊かさとつながっているものなのではないでしょうか」

加熱式たばこや音楽、コーヒーといった、愛してやまない嗜好品を楽しみながら思いを巡らせるひと時。村松さんのクリエイションの源泉は、その豊かな時間にあるようだ。

ソーシャルディスタンスを確保して行われたインタビュー風景。加熱式たばこが喫煙者と非喫煙者のクッションのような役割を果たすと語る一方、「逆説的ですが、グレーゾーンや曖昧な部分を許容するためにもルールやマナーというものがより重要になってくるのでは」と、村松さんはバランスと調和の大切さを感じているようだ。

一方で村松さんは、「たばこを嗜む時間自体が、よりプライベートなものに変わってきている」とも感じているという。

「以前と比べると、誰かと一緒にたばこを吸う機会は圧倒的に減りましたね。それは喫煙できる場所が限定されるようになったことだけが要因ではなく、先ほども触れたように非喫煙者の気持ちがわかるようになったことによる気遣いからでもある。ただその一方で、喫煙者と非喫煙者の関係性のように、なにかを完全に切り分けてしまうことには違和感を覚えます。たとえばそれは、仕事とプライベートの関係も同じかもしれません。僕の感覚では、双方が境目なく共存しているもの。昨今はプライベートを大切にしようという声もよく聞きますが、仕事はストレスが溜まるものだからプライベートを豊かにしようとすると話がおかしくなってしまう。そうじゃなくて、もっと仕事を豊かにしようと考えるべきなのでは。たとえばアメリカでは社会の分断が問題となっていますが、どんな問題においても世の中が多様性を保ち、異なる価値観が共存するには、二択にするのはなく、ある種のグレーゾーンが必要なのではないでしょうか」

こうしたグレーゾーンの役割を果たすものとして、村松さんは加熱式たばこを捉えているという。

「加熱式たばこは、喫煙者と非喫煙者のクッションとなるもの。たばこに限らず、グレーゾーンをもたせながら社会の中でフィットさせていく過程というのは、どんな分野でも必要です。そうじゃないと、世の中はギスギスしたものになってしまいますよね」

たばこと社会がどう共存するのかを考えていく過程で、必要になってくるもの。そのひとつとして、フィリップ モリス ジャパンが目指す「煙のない社会の実現」に対する取組みに、村松さんは共感を覚えるという。現在、同社による喫煙対策ウェブサイトでは、2020年4月から全面施行された改正健康増進法に関する情報や加熱式たばこを解説するとともに、分煙化を導入した飲食店の紹介、法人向け喫煙対策のソリューションの提案・サポートなどを行なっている。

「現代ではアート活動にしても企業活動にしても、より社会との関わり方が重要視されるようになってきました。これだけモノがあふれている時代だからこそ、豊かさや人間にとって本当に価値があるものをどう提供できるのかが求められているのです。僕が最近手がけた『Breath / Bless Project』というインスタレーションも、そうした観点から制作したもの。映像とセンシングテクノロジーを融合した作品を通して世界平和を願う活動に賛同し、つながりを感じてほしいという願いを込めた作品です。大切なのは、利潤だけを求めるのではなく、社会に対してどうやって豊かさを提供できるのか。フィリップ モリス ジャパンは“たばこの会社”ではあるものの、『煙のない社会』を実現するために、加熱式たばこのみ利用可能な『煙のない』施設や観光地などを全国で広げる取り組みを行っている。この点には大いに共感しますね」

誰もが快適に過ごせる未来に向かって歩んでいくための、ヒントやきっかけづくりになってほしい。そんな願いを込めたアートと企業活動が、いま求められているのかもしれない。

フィリップ モリス ジャパン 喫煙対策ウェブサイト

www.pmweb.jp/supporters
※未成年者の喫煙は法律で禁じられています。

問い合わせ先/フィリップ モリス ジャパン
www.pmi.com/markets/japan

アーティスト・村松亮太郎が語る、新しい生活様式がもたらしたクリエイションと社会の関連性とは。

  • 写真:杉田裕一
  • 文:遠藤 匠

Share:

  • Line

Hot Keywords