ゲーミング PCのMSIがつくる、ビジネスノートの“頂点”。その真価をクリエイティブディレクターに聞く。

  • 文:⾼野智宏
  • 写真:齋藤誠一
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この冬、ゲーミングPC界大手のMSIが本格的にビジネスノートPC市場に参入。動画制作などを行うライトクリエイターにも対応するというその性能を、クリエイティブディレクターの石井勇一さんに体験してもらった。

石井勇一●1979年、東京都生まれ。2013年、パートナーであるスタイリストのふくしまアヤさんとともに「OTUA」を設立。世界的なデザインアワード、ロンドンの「D&D Award」でのブロンズ賞をはじめONE showなど受賞歴多数。常に物事の本質に真摯に向き合うことで、対象者の心を揺さぶる“ナラティブ”な世界観を柔軟に表現し、パッケージデザイン、ロゴやグラフィック、ブランドの再構築やコーポレートアイデンティティなど、マルチに評価が高い。

ドラゴンをモチーフとしたロゴマークをアイコンに、ゲーム業界では世界的に知られるPCメーカー「MSI」。そんな、ゲーミングPCのグローバルブランドがこの度、ビジネスノートPC「Summit(サミット)」をリリース。Summit-B14を11月より発売、Summit-E15(英字キーボード)を12月に発売し、本格的にビジネスPC市場へ参入する。

ビジネスはもちろん、YouTubeなどの動画制作を行うライトクリエイターにも適しているという「Summit」を、話題映画のポスターやパンフレットなどを多く手がける、クリエイティブディレクター及びアートディレクターである石井勇一さんに体験してもらった。グラフィックがメインながらときに動画制作も手がけるプロの目に、「Summit」の実力はどう映ったのだろうか。

名作映画のパンフレットなどを手がけ、アート事業もスタート予定。

取材が行われたのは石井さんの会社「OTUA」の、自然光が降り注ぐオフィス。ちなみに、庭の先に見えるお屋敷は某公邸。都心ながら喧騒が届かない、その空気感も心地よい空間だ。

アイデンティティに苦悩し模索する少年の成長を描き、2017年(第89回)のアカデミー賞作品賞や脚色賞などに輝いた『ムーンライト』や、1990年代のロサンゼルスを舞台に、スケートボードを通して仲間と出会い成長していく少年の姿を描いた『mid90s(ミッドナインティーズ)』など、話題の海外映画の日本版ポスターやパンフレットなどを手がけているのが、クリエイティブディレクター・アートディレクターの石井勇一さんだ。

「現在はそのようなグラフィック関連が中心ですが、動画制作を手がける機会も増えてきました」と、最近の変化を語る石井さん。また、昨今の状況で対面の打ち合わせがあまり出来なくなり、遠隔での打ち合わせが増えたことにより直面した苦労もあるようだ。

「以前に化粧品のボトルからパッケージまでのデザインをトータルで手がけたのですが、サンプルを確認してもらう会議がウェブ会議でした。PCの小さなレンズに近寄りいろいろな角度で映して説明したのですが、やはり正確な色や質感は伝わりません(苦笑)」

世界的に評価された『ムーンライト』をはじめ、90年代のロサンゼルスの空気感を再現し、日本でもヒットした『mid90s』、そして「ミュージカルを超えた”プレイリスト・ムービー”」として大きな話題をよんだ『WAVES』など、スタジオA24の話題作の宣伝用グラフィックを多く手がける。

石井さんが代表を務める「OTUA(オトゥア)」の社名は、AUTOMATICを略した「AUTO」を逆さにしたもの。依頼された仕事に真摯に向き合うことで課題を見極め、よりよいソリューションとしてのビジュアルを導き出そうという、時代を問わずに変わらない人道的なクリエイティブマインドを示している。

「僕らが手がけた作品に対して、よく『ナラティブだ』と言われます。『語り』や『物語』を意味する言葉ですが、意識しているのはブランドからの一方的な物語ではなく、ブランドの想いをファンが共有し、ともに描きましょうという余白のニュアンス。僕の作品を見てそう感じてもらえたら嬉しいですね」

石井さんの仕事の大半は、実制作ではなく思考を巡らすことだという。

「なので、ずっとオフィスでは行き詰まってしまう。そんな時は外へ出て新たな情報をインプットします。『mid90s』のパンフを製作している時は、同様にスケボーのカルチャーをもつ、裏原やキャットストリートなどへ行き、現地の空気感を感じ取る。そうすることで新たな情報の入手はもちろん、リフレッシュにもなって新しいアイデアや発想が生まれることも多いのです」

平塚の福祉施設「studio COOCA」を始めとするアウトサイダー・アートを中心に、未だ世に出ていない魅力的な作品を、パートナーのふくしまアヤさんが額装を施し販売するアート事業も来春からECにて展開予定。「作品を自宅に試して飾れるシュミレーター機能なども開発したい」と、 石井さんは新事業への抱負を語る。

マルチタスクでもモタつかず、シンプルなデザインも好印象な「Summitシリーズ」

今回、石井さんに使用してもらったのは、MSIがこの冬発売を開始するビジネスパーソン及びライトクリエイター向けのノートPC、「Summitシリーズ」のファーストモデル「Summit B」。なお、Summitシリーズの発売に合わせ、既存のビジネスノートPCのロゴがシンプルなデザインへとリニューアルされた。

MSIの最新ビジネスノートPC「Summit B」の性能的な特徴は、CPUに最新の11世代インテル Core プロセッサーを搭載したことがその筆頭だ。

このCPUは、従来のデスクトップPCに搭載されていたCPUを超える処理性能を実現するとともに、卓越したグラフィックス処理性能をもつGPU「インテル iRIS  Xe Graphics」を内蔵。これまでのビジネスノートPCでは動作が遅くなりがちだった、動画・画像編集ソフトを使用したクリエイティブな作業も快適に行えるようになった

これには、石井さんも大いに同意する。

「動画編集でも重さを感じませんでしたね。また、高解像度の画像を編集すると、処理が終わるまで結構待たされることもあるのですが、それもない。ビジュアルを扱う際のモタつきは皆無でした」と、驚きを隠せない。しかも石井さんは、複数のアプリを同時に起動させマルチタスクも試してみたという。

「グラフィック系ソフトとビジネス系ソフト、さらには、動画配信サービスも同時に立ち上げ動作させましたが、まったく問題ありませんでした。お世辞抜きに、このCPUの処理速度はスゴイですよ」

ディスプレイを開くことにより、天板の底部がスタンドとなる構造を採用。これによりキーボードに傾斜がつくことで「快適にタイピングができる。しかも、フレームからキーボード全体がやや沈み込んでいるため、確かな“押し感”がある。これも人間工学的なデザインなのでしょうね」と、石井さん。
「Summit B」の底面に施された、オーディオコンポの周波数を表示するグラフィックイコライザーを思わせる排熱孔。石井さんは「僕は映画『マトリックス』の冒頭のシーンを思い出しました(笑)。でも、ゲーミングPCメーカーらしい遊び心ですよね。あえて見えない場所に施されているのもいい」とニヤリ。

テレワーク時代のビジネスノートPCならば、社内・社外を問わず気軽に持ち運べる携帯性も求められる大きな要素。「Summit B」も14インチモデルで重量は約1.3kg、厚さも16.9mm(最薄部)と実にスマート。しかも、耐衝撃性にも優れているため出先でもストレス無く、安心して活用することができそうだ。

「僕らの仕事でも、出先や出張先で別の仕事の修正依頼が来ることがよくあります。しかも、緊急に対応しなければならないことも多いのです(苦笑)。オフィスまで戻る時間すらない時であれ、常に『Summit B』を携帯しておけば安心ですよね。僕らが使用するグラフィックやムービー系ソフトもストレス無く使えることを考えると、大半の仕事に対応できるはずですから」

また、外出先での使用でもっとも心配なのがセキュリティだが、その対策にも抜かりはない。「Summit B」には、Windows Hello対応の指紋認識リーダーやBIOSセキュリティメニューなどを搭載。不正アクセスやハッキングによる情報漏洩のリスクに備えているため、社外でのテレワークも安心して行うことができるのだ。

「ビジネスとクリエーション、そしてエンタメにも活用できる『Summit B』は、これまでのものとは異なる世界観をもっているノートPC、という印象です」と、石井さんは語る。

石井さんは「Summit B」のシンプルなデザインに関しても好感を抱いた様子。

「まず素材感ですが、ビシネスノートに有りがちな、プラスチック然とした安っぽい光沢の質感ではなく、マットな感じに塗装が仕上げられているのがいいですよね。とてもシックで大人の男性でも安心して使えますね」

また、「Summit B」の登場に合わせ、「Prestige」や「Modern」といった既存のビジネスノートPCにも統一された、ロゴマークにも関心を示す。

「確かに、ゲーミングPCと同じドラゴンのロゴでは、ビジネスシーンでは浮いてしまうかもしれません。女性はもちろん、男性、それも30代以上の男性となると、携帯するには躊躇してしまいますよね(笑)。そうした意味で、ビジネスノートPCシリーズのロゴを刷新したのは大正解。PCのデザイン同様にシンプルで、ビジネスシーンにはピッタリのロゴマークだと思います」

シンプルでいてスタイリッシュなデザインと、プロのクリエイターをも納得させるハイスペック。企業も動画での情報発信が当たり前となったいま、「Summit B」は、その前線に立つビジネスパーソンが能力を最大限に発揮するためのサポートをしてくれるであろう、先進のノートPCといえるだろう。

「Summit-B14-A11M-765JP」¥164,800(税込) 11月12日より発売。

Summit-B14-A11M-765JP

Microsoft Office Home & Business 2019をプリインストール
OS:Windows10 Home
CPU:インテル Core i7-1165G7
ディスプレイ:14インチ フルHD(1920×1080)、ノングレア、sRGB相当
メモリ:16GB
ストレージ:512GB SSD(PCIe NVMe)
無線LAN:IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)、Bluetooth 5.1 対応
ネットワーク:Wi-Fi 6
インターフェイス:Thunderbolt 4 Type-C×1、USB 3.2 Gen2 Type-A ×2、HDMI ×1
サイズ:W319×H219×D16.9(最薄部)mm
重量:約1.3kg
価格:¥176,800(税込)


Summit-B14-A11M-765JP:詳細はこちら

Summit-B14-A11M-031JP(エディオンモデル):詳細はこちら

Summit-E15(英字キーボード):12月発売予定