松任谷正隆さんと行く、新宿 北村写真機店の楽しみ方。

  • 写真:河内 彩
  • 文:Pen+編集部

Share:

  • Line

写真とカメラにまつわるライフスタイル提案を行う専門店「北村写真機店」がカメラの聖地・新宿に誕生。この新店舗にカメラを熱愛する松任谷正隆さんが訪問し、各フロアの楽しみ方をレポートする。

松任谷正隆●1951年東京都生まれ。音楽プロデューサー・アレンジャー・キーボーディスト・作曲家であり、モータージャーナリスト・タレントとしても活躍中。

高知県高知市に「キタムラ写真機店」として創業し、今年で87年目を迎える「カメラのキタムラ」が新宿にオープンした旗艦店、それが「北村写真機店」だ。

街路に接する1階にはカメラのドレスアップアイテムやガジェット系のデジカメなどがごく控えめに展示してあるが、カメラ店というよりオシャレなセレクトショップのような雰囲気。あえてギッシリとカメラを展示せず、マニア以外のユーザーも優しく受け入れる店舗設計だ。カメラ愛好家の松任谷さんは少々戸惑った様子。「入った瞬間、何のお店だろう? という感じですね。僕は新宿に詳しくないけれど、お店があるのはこの位置ですか?」と覗き込んだのは新宿の街を縮小したジオラマ。これは自分の手持ちのカメラで撮影OK。眺めるのも楽しいが、思わず写真を撮りたくなる不思議な空間になっている。

新宿の街路から店舗へと切れ目なしにつながり、風通しも良好なエントランス。究極の映像の臨場感を実現するモニターも装備。
1階のスタイル&グッズには、カメラモチーフのトートバッグやドレスアップ用のストラップなど、さまざまなアイテムが販売されている。
1000分の1スケールで精密に作られた新宿の模型。表面には写真が貼り付けてある。リアルな街なみを空撮目線で追いかけるのは快感。

現在発売中のカメラ・レンズを、余すことなくゆったりと展示。

緩やかなアーチを描く天井内壁と鏡を使った演出により、空間の狭さをあまり感じることなく次から次へと気になるカメラやレンズに意識を集中して品定めできる。

いったい僕はどこに来たのだろう? という松任谷さんの表情は、2階の新品カメラコーナーに足を踏み入れた瞬間に変わった。目の前にあるのは、現在日本で発売しているほとんどすべてのカメラとレンズだ。「この2階のつくりは最高ですね。カメラがとても素敵に見えてきます」

新品カメラ・レンズの売り場は17坪とコンパクトなスペースだが、派手な展示ビラなどは一切なく、差し込む外光と相まって清々しい雰囲気。
展示中のカメラもレンズも、すべて手に取って感触を確かめられる。これは松任谷さんお気に入りの「カールツァイスBatis1.8/85」。

展示のコンセプトは、ノイズレスであること。すなわちカメラの機能や価格訴求のビラの類いが一切目につかず、カメラやレンズが清潔感溢れるディスプレイ台に整列している。しかも、そのすべてはハンズオンして操作の感触や重量感を確かめることができる。松任谷さんが手にしたのはハッセルブラッドのデジタル機。そして、「最近気になっていた」というカールツァイスの交換レンズだ。素敵なカメラを目にして湧き上がってきた気持ちを3階のブックラウンジで少し鎮めて、4階へと進む。

カウンターに寄り掛かる松任谷さん。
写真集や写真にまつわる書籍、ライフスタイル誌などが揃う3Fのラウンジ。写真プリントの発注は、A3サイズまでなら10分仕上がり。受け取りは1階となっている。
B1には、もはや一番身近なカメラと呼べる存在になったiPhoneをはじめ、アップル製品の修理受付カウンターを設置。基本は予約制だが、飛び込みでも対応してくれる。

フィルムからデジタルまで、圧倒的な在庫の中古カメラ

ブランド・機種ごとにまとめられ、ズラリと展示された中古カメラの数々は圧巻の一言。木枠のケースと低めに設定された色温度の照明により、落ち着いた雰囲気の中でお目当てのカメラやレンズとの出会いを果たせる。

4階へと階段で上がって行くと、視界の右側にショウケースが見えてきて古いライカとレンズが並んでいるのがわかる。その時点で松任谷さんの歩みは一時停止。「すごい数のライカと交換レンズですね。これはフィルム機だけどデジタルのライカもありますか?」と時計回りにゆっくり足を進めると、お目当てのデジタルM型ライカ群に遭遇。これはすごいと目を輝かせつつ、振り返った逆サイドにキヤノンの激レアな超大口径レンズを発見。「このレンズ、どんな写りなんでしょうね。こういう名作が普通に見つかるのはいいですね」と興味津々。

驚くべき物量と密度で展示された中古カメラ。同一機種が何台もあるので、コンディションや価格を見比べて選べる。
昔から憧れていた大口径レンズ、「キヤノン50mmF0.95」をキヤノン7に装着。その操作感と重量を初体験。

4階には、およそ5,000種類の中古カメラが展示してあり、そのうち約2割が懐かしのフィルムカメラだ。松任谷さんはカメラ博愛主義者であり、デジタルカメラだけでなくペンタックスの古い一眼レフや、フィルム時代のオリンパスペンも大好き。それぞれのショウケースを慈愛の目で見つめ、思い出が蘇り、スルーすることはできない。「このフロア、進むのにすごい時間がかかりますよね。たぶん僕のペースだと1m10分だね(笑)」

5Fに設けられた、証明写真の撮影ブース。メイクや髪形がチェックできるパウダールームも完備。肌の調子など簡便なレタッチ後に納品してくれる。8月スタート予定。
同じく5F、使わなくなったカメラやレンズの買取ブース。1日に400台の受け入れキャパシティがある。ここで修理や機材レンタルの受付も行っている。

博物館級の稀少アイテムを、サロン的な空間で堪能する。

ショーケースにはライカをはじめ、稀少なヴィンテージカメラが並んでいる。

6階では、稀少価値の高いヴィンテージカメラと新品のライカを扱う。「このフロアにある品物が頂点だけど、どんなカメラも憧れのもの。それが大事に扱われているのを各フロアで感じます。キタムラさんは、カメラ好きの心をよくわかっていますよ」と松任谷さんは微笑む。

稀少なアイテムに関する豊富な知識を持ったコンシェルジュが、カメラ・レンズ選びをアテンドしてくれる(予約可能)。
製造台数10台という超稀少なライカにヴィゾフレックス撮影装置を組み合わせ、至福の瞬間を味わう松任谷さん。

「セレクトショップ的なスタイルの提案がありつつ、肝心な物もすべて揃う。過去と現在、普通の人からプロまでがシームレスにつながった“生きている博物館”みたいな場所ですね」と新店舗の印象を語ってくれた。コンシェルジュの見立てた超希少なライカの感触を味わって取材は終了。だが、もっと詳しく見たい松任谷さんの足は再び4階へ。「北村写真機店」には、そんな気持ちにさせる魅力が溢れている。

オブスクラ(暗い部屋)と名付けられたスタジオ。基本機材のレンタルも行う(8月スタート予定)。
オブスクラの隣、ルシダ(明るい部屋)は最大約40名を収容するイベントスペース。トークライブやワークショップに使える。

新宿 北村写真機店

東京都新宿区新宿3丁目26-14
TEL:03-5361-8300
営業時間:10時~22時(カフェは8時~23時)
無休(年始をのぞく)
https://kitamuracamera.jp
Instagram : https://www.instagram.com/kitamura_camera_tokyo/
Facebook:https://www.facebook.com/kitamura.camera.tokyo/

松任谷正隆さんと行く、新宿 北村写真機店の楽しみ方。

  • 写真:河内 彩
  • 文:Pen+編集部

Share:

  • Line

Hot Keywords