アメリカ生まれの時計ブランド「ハミルトン」は、伝統的なスイス時計とは異なる発想力とデザイン力で、さまざまなスタイルの製品をつくってきた。今回取り上げるのは、アメリカの時計文化に光を当てた「アメリカンクラシック」。その魅力を各界のトップランナーに語ってもらおう。

1892年にアメリカのペンシルベニア州で生まれた「ハミルトン」は、鉄道時計の名門として名を馳せ、アメリカを代表する時計ブランドとなった。同社の特徴は発想力にあった。伝統に縛られず、先進性を尊ぶ姿勢から生まれた時計たちは、常に時代の最先端を進むアメリカンカルチャーの代名詞だった。製造拠点をスイスに移した現在でも、「スイスの正確性で、アメリカンスピリッツを表現する」という信念は変わらない。なかでも過去の傑作デザインを継承する「アメリカンクラシック」は、“アメリカ色”が強いコレクション。いわゆるスイス時計とは違ったキャラクターがあるので、新しい時代を牽引する若きビジネスパーソンにこそ使ってほしい。普段はスマートウォッチで軽やかに過ごしつつも、特別なシーンには由緒正しき個性派時計を選ぶ。そういう視点を大切にしたい。
さりげなくも個性的な顔をもつ、「イントラマティック オートクロノ」

ファッション系の案件が多いこともあり、”相手からどう見られるか“を強く意識するという小松隼也さんにとって、ファッションと同じくらい時計も大切なツールとなる。
「自分の印象を決めるだけでなく、クライアントとの会話のきっかけにもなる時計は、仕事にも影響を与える存在です。同業者には時計好きが多く、もっぱら高価な時計を好む印象ですが、私の場合は自分のセンスに合ったものを選びたい。長い時間身に着けるものですから、時計がもつストーリーに寄り添いたいのです」

「シンプルな時計が好きなので、クロノグラフは所有していないのですが、この『イントラマティック オートクロノ』は2カウンターのすっきりとしたデザインがいいですね。クライアントによっては、カジュアルな服装で打ち合わせする場合もありますが、そういうシーンでも似合いそう」。腕に乗せ、着用感を試しながら語り続ける。
「クラフトマンシップやラグジュアリー感が前面に出過ぎる時計は、個人的にはあまり好みじゃない。その点、アメリカ生まれのハミルトンは、機能的でありながら、洗練されたデザインも魅力的。さりげないけれど、存在感がある時計です。僕の理想は、打ち合わせの後に『この時計って○○ですか?』って言われること。それを実現させてくれそうです」
小松さんにとって、センスに響く時計との出合いとなったようだ。

1968年製の手巻きのクロノグラフ「クロノグラフA」を復刻。ケース径を現代的な40mmに拡大し、風防も透明度が高くて傷がつかないサファイアクリスタル素材に変更しているが、2カウンター式のクラシックスタイルは継承している。搭載するムーブメントCal.H-31は、連続で60時間駆動するので、金曜日の夜に時計を外しても、月曜日の朝まで動き続ける。ロゴマークはオリジナルモデルが発売された当時のもので、ここでもレトロ感を演出している。
アナログな気分に応える、「ボルトン メカ」の優雅な贅沢さ。

プロインタビュアーとして、多くの人に出会う早川洋平さん。当然、第一印象が大切になるはずだが、本人はいたって自然体だ。
「たとえ相手が大物であっても、スーツ&ネクタイでインタビューにのぞむことはめったにありません。それよりもこだわるべきは、どれだけ彼らが話しやすい『場』をつくれるか。だから偉い人ほどよりフランクに、一般の方にはより尊敬の念をもって接することを心がけています。だから時計にも正直あまりこだわりはないんです。時計が自分自身を表すものだとするならば、僕の場合は録音機材などの仕事道具こそが、自分そのものなんです」
しかし会社を立ち上げてから11年が経過し、年齢的にも“大人”になったことで、心境にも変化が。
「スタイリストをしている友人とも、そろそろ本格的な時計が欲しいよねという話になります」と、興味をのぞかせる。

「僕は天邪鬼なので、デジタル時代になるほどアナログの時計が気になってくる。普段はスマートウォッチを使っています。確かに便利ですが、だからこそ時間しかわからない『ボルトン メカ』が気になります。小さなデバイスでなんでもできる時代だからこそ、あえて機能を絞り込んでいるのが新鮮に見えるんです」
カレンダーすらない可憐なドレスウォッチは、時を告げるという機能しかない。しかしその優雅な贅沢さが心に響くのだ。
「美しいものを身に着けると、気分が上がりますよね。しかもインタビュアーという仕事は、常に時間配分を考えなければいけない。そういう時に、さりげなく時間を確認できるのもうれしい」
シンプルでよいものを手に入れて長く使っていく。それはデジタルでは難しいこと。ひょっとすると、この時計もいずれ“自分そのもの”になるかもしれない。

1940年代に発売されて以来、人気を保ち続けるロングセラーモデル。発売当時に流行していたアール・デコ様式の特徴である、緩やかにカーブを描く長方形ケースやレイルウェイ模様のミニッツトラックは、現代も時計デザインの定番である。そのためクラシックでありながら、古さを感じさせない。味わい深い手巻き式ムーブメントCal.H-50は、約80時間も連続駆動するため、精度が高くて使い勝手に優れる。
大航海時代の歴史を引き継ぐ、「スピリット オブ リバティ」

起業9年目は挑戦のフェーズ。それこそ分刻みのスケジュールの中で仕事をしているので、時計は必須だと山野智久さんは語る。
「時間は大切ですから、時計は毎日着けます。大切なのは時間を読みやすいことですが、さらにブランドがもっているストーリーにも注目します。僕の会社は“日本の遊び”を国内外へ発信すること、そしてテクノロジーでライフスタイルを充実させることを目指しているので、アクティブな印象が大切。だからタフネスなストーリーをもつ、カジュアルなスポーツウォッチをいつも愛用しています」
時計は自分の個性が如実に表れる場所である。だからこそイメージを大切にしたいし、自分がシンパシーを感じるストーリーが必要なのだ。

「普段はカジュアルですがスーツを着用する時は、きちんとした時計が必要かなって思います。ハミルトンはブランドの歴史が面白いですよね。アメリカで生まれ、さまざまな画期的な時計を生み出しつつも、経営難もあり、現在はスイスのブランド。激動の歴史がありつつも、“魂は死んでいない”というたくましさに、経営者としてグッとくるんです」
意外な着目点だが、それもまたハミルトンの個性である。
「この『スピリット オブ リバティ』は、ブレスレットまでメタル製なのでずっしりとした重みがある。ハミルトンの重厚な歴史を、手首の質量で感じることができる時計なんですね」
自分の人生や価値観に重なるストーリーをもつ本格時計に、ついに出合ったのかもしれない。

船舶用の高精度時計「マリンクロノメーター」は、技巧派時計ブランドだけが製作できた特別な置時計。このモデルは1940年代に製作されたハミルトン製マリンクロノメーターからインスピレーションを受けており、時刻を読みやすいシンプルなデザインが特徴。ブランドロゴに創業当時のエンブレムを組み合わせたスタイルは、このモデルだけの特別仕様である。
“アメリカ生まれ”というハミルトンの個性を、クラシックデザインで表現する「アメリカンクラシック」は、個性的なのに正統派。自分らしい時計を探したいという3人の心に響く選択肢になったようだ。
●問い合わせ先/ハミルトン/スウォッチグループジャパン
TEL:03-6254-7371
www.hamiltonwatch.jp