こころを震わせるクリエイションを求めて、注目のデザイン&アートイベント「DESIGNART TOKYO 2018」へ。

  • 文:土田貴宏

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昨年から始まった、東京の秋を彩るデザイン&アートイベント「DESIGNART TOKYO」は、領域を超えた最新のクリエイションが集結するチャンス。10月19日から28日までの期間中、約120もの展示やイベントが青山や六本木など都内各所で行われます。最新情報をお届けしましょう。

ボルボ スタジオ 青山で展示される、スウェーデンの新進ガラス作家、サラ・ルンドクヴィストによる作品より。photo:Karin Olanders

現在は、デザインとアートをはじめ建築、ファッション、クラフトなどの境界が曖昧になっています。領域をクロスオーバーさせるクリエイターが増え、多様な表現が次々と生まれるようになりました。こうしたシーンのキーワードは“エモーション”。既存の尺度ではなく、心から感動できることこそが大切な価値なのです。
「DESIGNART TOKYO」は、そんな価値を広めようとする東京発信の新しいイベントです。ほとんどの作品は日本初公開で、新世代のクリエイターも多数参加しています。約120の展示や催しの中から、注目すべき展示を厳選してご紹介します。

東京全体がミックスカルチャーのミュージアムに。

藤元明と永山祐子によるインスタレーション「2021#Tokyo Scope」の展示模型。会場は南青山のエイベックスビル。2021年以降の日本を考えることは、DESIGNART TOKYOのテーマでもあります。

DESIGNART TOKYOの約120もの展示の中で、必ずチェックしたいのは会期中しか見ることのできない特別なインスタレーションです。今年のイベントを象徴する「DESIGNART FEATURE」では、アーティストの藤元明と建築家の永山祐子が「2021#Tokyo Scope」を制作。エイベックスビルのアトリウムを会場に、東京という都市の空間的な軸線と、今日から東京オリンピック以降の日常を見るという時間的な軸線を可視化することがコンセプトになっています。

その他の注目インスタレーションとしては、ヴィヴィッドな作風で人気のベサン・ローラ・ウッドが参加する、シャンパーニュ・ブランド「ペリエ・ジュエ」によるポップアップ・バーが青山のスパイラル・カフェに登場。建築家の藤本壮介がダウンを素材に手がけるカナダグース千駄ヶ谷の「Particles of Life」(会期:2月中旬まで)や、映像とオブジェを組み合わせたタクト・プロジェクトによるグランドセイコーの「ザ・フロー・オブ・タイム」(会場:pilygon青山 会期:10/20〜10/27)も見逃せません。

デザイナーの鈴木啓太が、菅原工芸硝子株式会社と組んで完成させたスピーカー「Exponential」。フリッツ・ハンセン青山本店で限定販売されます。展示会期は11/9まで。
メディアアーティスト落合陽一が、TDKとコラボレーションして制作した「Silver Floats」。会場は南青山のkolorの旗艦店です。

東京全体をミックスカルチャーのミュージアムとしてとらえ、都内の各所に展示会場が分散させているのがDESIGNART TOKYOの大きな特徴です。中でも作家の個展形式のエキシビションには、豊かな才能がひしめいています。近年、メキメキと頭角を現しているデザイナーの鈴木啓太は、スマートフォンの音を美しく響かせるガラス製スピーカーを発表。今回の展示のためにサカナクションの山口一郎が率いるNFが制作した楽曲は、会期中の会場でしか聴くことができないという、きわめて貴重な機会です。その他の個展で注目したいものには、意外性と完成度の高さが際立つ清水久和のプチバトーブティック表参道店での新作発表、社会的テーマを取り上げる板坂愉のフレッドペリー東京ショップでの新作椅子の発表、メディアアーティストの落合陽一によるkolor旗艦店でのオブジェの展示などがあります。

最新のクリエイションが集う、「DESIGNART GALLERY@Francfranc Forest」

和紙を漉いてランプシェードにした坂下麦の「SUKI」
イギリスのフェイ・トゥーグッドによる帆布製ソファ「ABCD」。青山通り沿いのDESIGNART GALLERY@Francfranc Forestには、エピストロフ、鈴木紗也香、高橋洋平、西川茂、早川翔人、牧野仁、松山祥樹、湯浅克俊らも出展。

個展形式の展示の他に、複数のクリエイターの作品がまとめて見られる、大規模なグループ・エキシビションもあります。そのひとつが主催メンバーのキュレーションにより15組が出展するDESIGNART GALLERY@Francfranc Forest。国内外で作品を発表している舘鼻則孝、飯田竜太、小関隆一らに加え、フェイ・トゥーグッドやピエール・シャルバンといった海外勢のビッグネームも新作を披露。坂下麦の「SUKI」や、フェイ・トゥーグッドの「ABCD」は、いずれも今年4月にミラノで発表されて評判の高かったものです。会場は、Francfrancが今年開設した撮影や展示のための専門スペース。領域を超えたクリエイションの最新形が一堂に会します。

スウェーデンで開催された今年度の「Ung Svensk Form」展の様子。主要作品の多くが日本にやってきます。
建築家の沖津雄司による「Focus」は、レンズと光の効果で空間に独特の効果をもたらすモビール型のオブジェ。

今年のDESIGNART TOKYOのパートナー国がスウェーデン。青山通り沿いのワールド北青山ビルを会場に、この国の新進デザイナー29組のすぐれた作品を見せる「Young swedish Design 2018」が開催されます。「Young Swedish Design(Ung Svensk Form)」は1998年に創設された新人デザイナーのためのアワードで、今年度の内容はクラフトにフォーカス。また近隣のボルボ スタジオ 青山では、「Young swedish Design」で2013年から3年間にわたり連続入賞したガラス作家、サラ・ルンドクヴィストの展示も行われます。

六本木のアクシスビルで開催される、4組の日本人デザイナーによる展示も話題を呼びそうです。世界最大級の家具見本市、ミラノサローネで若手の登竜門とされるサローネサテリテに今年出展し、高い評価を得た氷室友里と沖津雄司が参加。やはりサテリテ出身で活躍中の二人組のYOYと、テンポラリーユニットRHTMAも新作を発表します。

インテリアショップの新作にもご注目を。

表参道のGYREに直営店をオープンさせるデンマークのHAYは、ロナン&エルワン・ブルレックの新作椅子「Elementaire」が日本初上陸。
カッシーナ・イクスシー青山本店は、コンスタンティン・グルチッチによるソファ「Soft Props」はじめ新作7点を発表します。展示会期は11/13まで。

もともと秋は、東京のインテリアショップに一斉に新作が入荷する時期でもあります。DESIGNART TOKYOに参加しているインテリアショップは、時代の第一線で活躍するデザイナーを起用するブランドが多いのが特徴。それぞれに革新性がそなわっています。カッシーナ・イクスシー青山本店では、今やコンテンポラリーデザインを代表する存在になったコンスタンティン・グルチッチの新作ソファが登場。またデンマーク発のインテリアブランドで常にニュースに事欠かないHAYは、待望の直営店「HAY TOKYO」がオープン。新作の数々が入荷するほか、併設されるカフェや、建築家の長坂常が手がけるショップデザインにも注目です。

マイケル・アナスタシアデスによる、バング&オルフセンの新作スピーカー「Beosound Edge」は代官山T-SITEで展示。会期は10/26〜10/31。
ミラノを拠点に評価を高める大城健作による新作「SWEEP」。展示会期は10/25〜10/30。

照明のデザイナーとして脚光を浴び、家具などのデザインも多く手がけるようになったマイケル・アナスタシアデス。日本にもファンの多い彼の新作は、デンマークのオーディオブランド、バング&オルフセンから発表されたスピーカーで、代官山T-SITEでプレゼンテーションされます。またミラノを拠点に活動し、イタリアの高級家具ブランドにも起用されている大城健作は、南青山のエ インテリアズで新作をはじめとする自身で手がけた家具を展示。ニューヨーク在住の彫刻家、舟橋潤の作品展示(10/19〜10/28)も開催されます。

ここに紹介した以外にも、国内外の多くのデザイナー、アーティスト、クリエイターらが参加するDESIGNART TOKYO。誰でも参加できるオープニングパーティー(チケット制)が初日に開催されるほか、国内外の識者が集うカンファレンス「BRIDGE」が行われたりと、展示以外のコンテンツも数多くあります。きっと誰もが、気持ちを震わせるような何かと出合えることでしょう。

DESIGNART TOKYO 2018
デザイナート トーキョー 2018

会期:2018年10月19日(金) 〜10月28日(日)
会場:表参道・外苑前/原宿・明治神宮前/渋谷・恵比寿/代官山・中目黒/六本木・広尾・三田
出展箇所:約90箇所
※会場によって、期間、休館日、開催時間などが異なります。一部、入場料が必要な会場があります。
http://designart.jp/designarttokyo2018/

こころを震わせるクリエイションを求めて、注目のデザイン&アートイベント「DESIGNART TOKYO 2018」へ。

  • 文:土田貴宏

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