フィアット×京都の竹工、イタリアと日本のモノづくりを訪ねる旅。

  • 写真:杉田裕一
  • 文:和田達彦

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日本との絆をより深く結びたいという思いから、イタリアの自動車メーカー、フィアットが取り組む「フィアット×メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」。日本各地の優れた伝統工芸品とモノづくりに新たな光を当てるこの活動、今回の舞台となったのは京都・長岡京です。

今回の作品テーマとなったのは「京都の竹工」。良質な竹材の産地である長岡京の竹を用いて箸をつくり、それを収める箸箱が寺の古材を再利用して製作された。

オリジナルの協働プロダクトづくりを通して、日本各地の優れた伝統工芸を紹介する「フィアット×メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」。日本のモノづくり文化の継承を目指すNPO法人メイド・イン・ジャパン・プロジェクトとともに、今年2回目の活動として製作するのは、京都・長岡京の高野竹工が手がける竹箸と箸箱です。

高野竹工は、竹工芸店を家業にしていた先代社長が千利休に傾倒し、茶道具を製作する会社として1973年に設立されました。現在、工房には竹工をはじめ指物、漆、蒔絵などの技術をもつ20人の職人が在籍し、茶道具だけでなく日用品の製作から建築内外装の装飾施工まで幅広く手がけています。

京都・長岡京の伝統文化が結び付けた、竹箸と古材を用いた箸箱。

完成した「京都府 竹箸&古材製箸箱」。竹箸の持ち手は、フィアットの母国イタリアを象徴する赤と緑に塗装。箸箱に用いた古材は、楊谷寺(ようこくじ)で江戸後期から明治にかけて掛け軸を収める木箱として使われていたもの。蓋には、金箔でフィアットのロゴと楊谷寺の家紋をあしらった。

今回の竹箸を含め、高野竹工が扱う竹材は、契約する竹林から職人が直接切り出したもの。通常は生えてから4、5年の竹を伐採し、油抜きの作業を行います。そこからさらに乾燥させて、材料として使えるようになるまで数年かかるといいます。生育が早い竹の林は荒れやすいので、計画的に伐採していくことが必要。竹の産地として知られる京都の長岡京周辺には古くからの竹林が数多く残されていますが、手入れの行き届いた竹林は減少しつつあります。

高野竹工では竹林の整備から携わることで、良質な竹を確保しているそうです。こうして得た良質な竹材を用い、職人が丹精を込めて製品に仕上げていきます。軽量ながら繊維がしなやかで強い竹は、箸の材料としては最適な素材。箸の場合、一膳ずつセットでつくるので、肉厚の竹材を選びます。カンナで丹念に削っていくことで、手にしっくりと馴染み、使い勝手のよい箸ができあがります。

箸に使う竹は十分に乾燥させ、手に馴染むように肉厚のものを厳選。職人が自作した専用の治具に竹材をセットし、カンナで削って徐々に箸の形状にしていく。
平安時代の806年に開山され、柳谷観音(やなぎだにかんのん)の名で眼病平癒の祈願所として信仰を集めてきた楊谷寺。本堂と書院の間に築かれた名勝庭園は、文化財に認定されている。
竹林の管理などモノづくりと環境の在り方について語り合う、FCAジャパンのティツィアナ・アランプレセ(右)と 高野竹工の西田隼人さん(左)。
計画的に伐採を行うことで、美しく保たれている竹林。竹材用の竹を伐採する際は、周囲の竹にも傷がつかないよう慎重に切り出して運んでいく。

この竹からつくった箸を収めるのは、古材を用いて製作された箸箱です。寺社の改修などの際に出る古材を再利用するのは、道具の由来を珍重する茶道具の世界では一般的なこと。高野竹工はこれまでも、金閣寺などの古材から茶道具を製作しています。そして今回の箸箱には、長岡京市西部の山中にある柳谷観音 楊谷寺(やなぎだにかんのん ようこくじ)の古材が使用されました。

江戸時代後期から明治時代にかけて、掛け軸を収める木箱として使われていたもので、当時は信徒から構成される講(こう)によって管理されていたことから、木箱の裏には講のメンバーの氏名が記されています。木箱は古くなるたびに新調するので、使用されなくなったものが寺の倉庫に眠っていました。今回はそれを再利用して、箸箱を製作することになったのです。「一度役目を終えたものにもう一度魂が入り、命が延びる。そしてさらに歴史を重ねていくのです」と話す、高野竹工の西田隼人さん。楊谷寺住職の日下俊英さんも、「これが日本の伝統文化に興味をもつきっかけになると嬉しいですね」と語ってくれました。

イタリアを代表する国民車、フィアットの「500 ツインエア ラウンジ」

フィアットの「500 ツインエア ラウンジ」。先代の「ヌォーヴァ 500」を彷彿とさせるキュートなルックスと、きびきびとした走りが魅力の4人乗りコンパクトカーだ。

「竹も古材も循環させることで、文化をつないでいくことができる。そんな素晴らしいコンセプトを象徴した作品になったと思います」と、FCAジャパンのマーケティング本部長を務めるティツィアナ・アランプレセは解説してくれました。

歴史を受け継ぎ、新たな命を吹き込まれた竹箸と箸箱――。それは長年イタリアの国民車として親しまれてきた先代の意匠が、現代にも息づいているフィアットの「500(チンクエチェント)」と相通じるものがあります。フィアットの115年以上におよぶ長い歴史の中で育まれたカーデザイン、それはイタリア文化を象徴するデザインとも言えるものです。これを後世に受け継ぎ、時代に合わせてアップデートしていくことで、フィアットとイタリアのモノづくり文化は、さらに未来へと継承されていくのです。

丸みを帯びたボディに、キュートなフロントフェイス。先代モデルの意匠を巧みに取り入れつつ、現代のクルマとしてブラッシュアップされている。
メーターの造形をはじめ、インテリアも先代の面影が感じられるデザイン。ボディと同色のインストルメントパネルが、ポップな雰囲気を醸し出している。
立体的なフロントフェイス。LEDデイランプは500のロゴの「0の形」をモチーフにするなど、細かな部分までデザイナーの遊び心が感じられる。
コロンとした後ろ姿もかわいらしい。内側がくり抜かれた四角形のテールランプなど、500のイメージを踏襲しつつモダンにアレンジしている。

1936年に誕生したフィアット 500。初代モデルは「トポリーノ」の愛称で親しまれ、55年まで製造されました。そして57年に登場した2代目の「ヌォーヴァ 500」は、その愛らしいデザインと使い勝手のよさから世界中に多くのファンを生みました。2007年に発表された3代目は、この2代目のデザインをモチーフにしながらも、現代のクルマにふさわしいスペックを備えたモデルとなっています。

多彩なラインアップが揃う500のうち、この「500 ツインエア ラウンジ」は、875ccの2気筒8バルブエンジンに可変吸気バルブタイミング「マルチエア」テクノロジーとインタークーラー付きターボを採用し、小排気量ながら高いパフォーマンスと低燃費を実現。コンパクトなボディは取り回しがよく、きびきびとした走りがドライビングの楽しさを実感させてくれることでしょう。

フィアット 500 ツインエア ラウンジ

●エンジン形式:直列2気筒8バルブ マルチエア インタークーラー付きターボ
●排気量:875cc
●最高出力:63kW(85ps)/5500rpm[EEC]
●サイズ:全長3570×全幅1625×全高1515mm
●メーカー希望小売価格:¥2,635,000(税込)

問い合わせ先/チャオ・フィアット
TEL:0120-404-053
www.fiat-auto.co.jp

フィアット×京都の竹工、イタリアと日本のモノづくりを訪ねる旅。

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