昨年7月の新CEO就任以来、大きく舵を切ったブライトリング。「語り継がれる未来」というコンセプトのもと、彼らが進もうとしている道を読み解きます。
ブライトリングの動向から、いま目が離せなくなっています。1884に創業したこの老舗ブランドは、機械式クロノグラフや航空業界(アビエーション)との深い関係で多くのファンにアピールしてきました。しかし、昨年7月に就任した新 CEO、ジョージ・カーンの指揮のもと、その価値をさらに高めるべく、大胆な変革が図られているのです。
新ナビタイマーの衝撃と、 ブランドの新たな戦略。
新生ブライトリングは、まず1月の上海で披露されました。アジア各国のジャーナリストらを招いて華々しく発表されたのは、まったく新たなコレクション「ナビタイマー8(エイト)」。初期のパイロットウオッチから想起して、3針からワールドタイマーまで揃えるこのコレクションは、創業者の孫であるウィリー・ブライトリングが1938年に設立した航空時計の研究部門「エイト アビエーション」から名をとったものです。回転計算尺をもたない「ナビタイマー」の登場に、多くの来場者から戸惑いや驚きの声があがりましたが、しかしカーンCEOはその反応を当然予期していたようでもあります。
「ナビタイマーの歴史をひも解けば、回転計算尺のない、クロノグラフではないモデルも存在しました。我々は、これまで注目されなかった側面に光を当て、ラインアップを再定義し、新たなファンを開拓していきたいのです」と、その戦略的な意義を語りました。
「ロードショー」と銘打たれたイベントは、その後チューリッヒ、ニューヨークに上陸。3月末のバーゼルワールドでは、新モデル「ブライトリング ナビタイマー スーパー 8 」を発表。充実したコレクションを伴って、新生ブライトリングが世界に発信されました。
「ブライトリング魅力は“空”の分野で確立されていますが、それ以外ではまだそれほど知られてもいません。“空”のことは変わりなく尊重していきますが、陸や海でもブランドを表現していきたい」と語るカーンCEO。従来の男らしい時計だけでなく、都会的でエレガントな時計を共存させ、ブライトリングという世界を広げ、強固にしていく考えであるといいます。
「ブライトリングは、数ある中でも最も興味深い歴史をもったブランドです。CEOに就任し、その歴史を深く探索しました。そのリッチさ、深みというものを、世に伝えていくことが大切だと思います」
伝統に安住せず、新たな地平へと踏み出したブライトリングの勇気は、既に賞賛に値するものでしょう。老舗ブランドのチャレンジを、期待をもって見守りましょう。
●ブライトリング・ジャパン TEL:03-3436-0011 www.breitling.co.jp