いつでも手軽に、ボタンひとつでおいしい本格コーヒーが味わえる、それが「ネスプレッソ」のコーヒーの魅力。どんな仕組みなのか? どんなスイーツと組み合わせることで、新たなおいしさに出合えるのか? その秘密に迫ります。

ネスプレッソから、新しいコーヒーメーカー「エッセンサ ミニ」が発売になりました。使い方は実にカンタン。水とカプセル入りのコーヒーをセットすれば、ボタンひとつ押すだけで、好みの量のコーヒーが抽出されます。
コーヒー豆の生産から淹れるマシンの提供まで、つまり豆が1杯のカップに入ったコーヒーに結実するまでのすべてを、自社でコントロールできることがネスプレッソの強み。だから、品質にも、おいしさにも、妥協のない高いレベルが一貫して保たれているのです。
でも、ネスプレッソの魅力はそれだけではありません。次のページからは、カプセルに入った24種類のコーヒーをもっとおいしく楽しむヒントを、3つの角度から探っていきます。まずは、味覚のプロである実力派パティシエが「ネスプレッソ」のコーヒーの味わいを語ります。
パティシエ・佐藤浩一が語る、ネスプレッソのコーヒーの味わい深さ。

カプセルに入ったネスプレッソのコーヒーは、24種類のラインアップが揃います。それぞれに名前があり、「フルーティ」「まろやか」「穀物のような香り」「花の香り」など味わいと香りの特徴に加え、苦みや酸味の強さや、お薦めの抽出量が目安として示されています。
でも、もっとわかりやすくその特徴をつかむ方法はないものか――そう考え、今回、パティシエの佐藤浩一シェフに協力をお願いしました。佐藤さんは、ハイアット リージェンシー 東京のペストリー・ベーカー料理長。厳選した食材を駆使し、繊細な味わいと見た目の美しさとを併せもつお菓子を送り出すことでつとに知られる名パティシエです。

まず、佐藤さんにとってのコーヒーの意味や、コーヒーの持ち味についてうかがいました。
「コーヒーは、毎朝飲んでいます。ミルクを加えたカプチーノタイプの飲み方が好きですね。あとは、ひと仕事終わった時など、気分をリセットしたい時に欲しくなります」と佐藤さん。「ネスプレッソ」のコーヒーは、淹れたカップを鼻に近づけた時の香りの高さが他のコーヒーとは一線を画す、と評価します。
「食材として考えると、コーヒーは味わいも香りも、とても強いものです。独特でもあります。なので、お菓子の材料としては『アクセント』や『ちょっとしたスパイス』『隠し味』として使うというわけにはいきません。存在感が強すぎるのです。だから、むしろメインの素材として使います。よく知られているティラミスのように」
確かに。どんなに少しの量でも、コーヒーの味わいは、舌で感知できる強さがあります。ただ不思議なのは、味わいの強さに負けず、酸味や甘みや苦みもきちんと感じられること。そこを、佐藤さんはお菓子づくりにうまく利用していくのだと語ります。

「その複雑な味わいがうまく活きるように、コーヒーをお菓子に使う時は、豆のままや粉末状にして、あるいは狙った濃さに抽出して、と使い分けをします。ムースやゼリーには抽出した液体を、生ケーキの一部にダイレクトな苦みや食感が欲しければ豆を粗く挽いて、などといった具合に」と、佐藤さん。
では、このお菓子はコーヒーに合わせて食べてほしいと意図してつくるものもあるのでしょうか。
「それはないですね。お菓子と一緒になにを飲むかは、その方の自由だと思います。ただ、コーヒーと合うだろうなと思うお菓子は存在します。たとえば、マカロン。うちの製品はかなり甘さ控えめなのですが、一般的にマカロンは甘みが強く味も濃いので、コーヒーと合うと思います」

では、コーヒーがよりおいしくなるような、お菓子とのペアリングはあるのでしょうか。今回、佐藤さんにはネスプレッソのカプセルコーヒーのうち代表的な2種を味わっていただき、それらに合いそうなお菓子を提案していただくことにしました。
ひとつは、たっぷりめのルンゴカップサイズの抽出量(110ml)がお薦めの「フォルティシオ・ルンゴ」。緑色のカプセルで、風味豊かなフルボディタイプです。もうひとつは、エスプレッソサイズの抽出量(40ml)が推奨の「ロサバヤ」。ピンク色のカプセルでフルーティなタイプです。
次のページでは、それぞれのコーヒーの味わいや、豆にまつわるユニークなエピソード、佐藤さんが「相性よし」とお薦めするパティシエ特製のおいしいお菓子とのマッチングを紹介します。

コーヒーとお菓子、魅惑のペアリングをお試しあれ。

まずは、緑色のカプセルに入った「フォルティシオ・ルンゴ」を紹介しましょう。初めてネスプレッソのコーヒーメーカーを使う方、けれどコーヒーは普段からよく飲むという方にお薦めです。味わいは、ひと言で表せば「風味が豊かでフルボディ」。中南米産と西インド産のアラビカ豆をブレンドした、力強さが特徴です。
香りの特徴は「甘い穀物のような香り」と「香ばしい麦芽のような香り」。この香りが生まれたきっかけには、実はちょっと面白いストーリーがあるのです。

「フォルティシオ・ルンゴ」の「甘い穀物のような香り」が生まれたのは、いわば偶然の産物ともいえる背景からです。18世紀、西インド産のコーヒー豆が、ヨーロッパ大陸に向けて木造船で運ばれていた時のこと。長い船旅により、洋上の湿った空気とモンスーン(季節風)にさらされ続けた豆に、とある偶然から変化が生じたのです。
豆の色が、青みがかった灰色からクリーム色がかった黄色へと変化。さらに、豆の大きさも元の2倍ほどに膨れ、酸味が抑えられていたといいます。
この「偶然」が、研究を重ねることでやがて「モンスーニング」という熟成術を生むことになります。そして、このモンスーニングを経た西インド産のアラビカ豆と、ウォッシュド(水洗式精製)のコロンビア産アラビカ豆2種がブレンドされ、「フォルティシオ・ルンゴ」は生まれました。

さて、そんなストーリーが隠された「フォルティシオ・ルンゴ」を味わった佐藤さんの感想はいかに?
「これは飲みやすく、お菓子に限らずどんな食材とも合いそうですね。ロースト香がほどよいので、トーストした食パンなどとも相性がいいでしょう。朝食の席にぴったりかもしれません」
では、スイーツに合わせるなら?
「コーヒーの風味は豊かですが、あまり甘すぎるものや濃厚な味のお菓子と合わせるとコーヒーが負けてしまうかも。そこで、マカロンをお薦めします。手前味噌になりますが、うちのマカロンはかなり甘みを控えていますので、『フォルティシオ・ルンゴ』には合うと思います。なかでも、さっぱりとしたレモンやイチゴ、ふんわりした味わいのバニラはいかがでしょう」

では、マカロン以外ではどんなスイーツが合いそうですか?
「ショートケーキをはじめとする、オーソドックスなケーキがよさそうですね。たとえば、レアチーズケーキ。『フォルティシオ・ルンゴ』は、酸味のあるものもうまく受け止めてくれそうなので。うちのチーズケーキはイチゴ、ラズベリー、ブルーベリーなどが飾りに使われているのですが、これらのフルーツとも合うと思います」
では、ここで【まとめ】を。「フォルティシオ・ルンゴ」は、
1.味わいは、風味豊かでフルボディ。
2.豆には、モンスーンがヒントとなった熟成術が施されている。
3.合わせるなら、さっぱり味のマカロンかチーズケーキがお薦め。
……とのことでした。次のページでは、エスプレッソで飲むのがお薦めのカプセルコーヒー、「ロサバヤ」に合わせたいスイーツを紹介します。
フルーティなコーヒーには、 しっかり甘いものを。

続いて、ピンク色のカプセルに入った「ロサバヤ」です。「ロサバヤ」を表現するワードとして、まず覚えておきたいのが「フルーティ」であること。ラズベリーなど赤いフルーツのジャムのような、またワインを思わせる香りが漂ってきます。また、ほのかな「酸味」もポイント。とても後を引く味わいです。
口当たりのやわらかい「ロサバヤ」は、コロンビア産のアラビカ豆を繊細にブレンドしています。この「繊細」さは、工程においても重要なポイントとなっています。それはいったい、どんな点においてなのでしょうか。

標高2000m、3648m――そう聞けば、日本人なら標高3776mの富士山を思い浮かべることでしょう。ロサバヤに使われるアラビカ豆は、コロンビアの標高2000mの高地で栽培されます。高地栽培のメリットは、上質のアロマと力強い酸味を携えた豆が育つこと。それが、ひいては「ロサバヤ」の特徴となっていくのです。
小規模な農園で栽培された豆は、手摘みされた後、12時間以上かける発酵のプロセスへと移されます。そののち、水洗式で精製。洗うことで酸味とアロマを十分に引き出すのです。さらに、1週間をかけて天日で乾燥。その後、富士山と同じくらいの標高3648mに位置する倉庫に運ばれ、寒冷な気温によって豆本来の品質が保たれます。
これほどに手間をかけ、繊細な注意を払って生み出される「ロサバヤ」。最終的には、2種類のアラビカ豆を別々にローストした後でブレンドすることで、フルーティな香りと酸味がより引き立ち、コーヒーにボディが生まれるのです。

そんな繊細な「ロサバヤ」の味わいを、佐藤さんはどう受け止めたのでしょうか。
「ほどよい酸味と苦みがありますね。それと、フルーティな香りが印象的。香りが鼻に抜ける感じが爽やかです。産地やカカオ豆の成分の異なるチョコレートをテイスティングする時に似た感覚があります」
さすがはパティシエ、チョコレートとの比較が飛び出しました。
「『ロサバヤ』はエスプレッソの量で抽出しますし、『フォルティシオ・ルンゴ』と比べれば味も濃い。なので、合わせるスイーツとして最初に思い浮かべたのは、ガトーショコラでした。それと、濃い味わいのマカロンもお薦めです。たとえば、チョコレートとか抹茶などのフレーバーを試していただきたいです」

では、マカロンやガトーショコラ以外では、「ロサバヤ」にはどんなスイーツが合うのでしょう。
「フランスの伝統菓子、オペラとの相性は抜群だと思います。コーヒー風味のバタークリームを挟んだ生地の表面にチョコレートを流した定番スイーツですが、うちの商品は表面にカカオパウダーをふってあるので、よりコーヒーと相性がよいと考えます」
佐藤さん、「ロサバヤ」の味わいにはかなり触発されたよう。
「先ほどチョコレートと合うと言いましたが、他の食材では栗とも、互いを引き立て合う相性だと思います。お菓子ならモンブラン。うちのモンブランには、ラズベリーやカシスなど赤いフルーツのコンフィ(ジャム)を忍ばせているので、その酸味がまたロサバヤに合うと考えます。あとは、ドライフルーツが入って洋酒の効いたパウンドケーキなどもお薦めです。これらのスイーツと『ロサバヤ』で、アフタヌーンティーならぬ“アフタヌーンコーヒー”を楽しまれてはいかがでしょうか」
では、ここで【まとめ】を。「ロサバヤ」は、
1.フルーティな香りと、ほのかな酸味がポイント。
2.豆は2000mの高地で栽培され、手間暇かけて酸味とアロマが引き出される。
3.合わせるならコーヒー味のオペラ、あるいはチョコレートや栗のしっかりとした味わいのケーキがお薦め。
……のようです。次のページでは、このように多彩な味わいを生むコーヒー豆の産地について思いを馳せてみましょう。コーヒー豆も農作物のひとつであり、地球環境やサステイナビリティ(持続可能性)と無縁ではいられません。現代社会が抱えるこの問題と、“おいしさ”“上質さ”の維持との間には、実は密接な関係があるのです。
生産者や地球環境、そこへの目配りがおいしさのカギ

パティシエとして、お菓子に使う材料の質にこだわる佐藤シェフ。ただ、最近は原料不足の問題が深刻になっているといいます。
「お菓子づくりに欠かせない、バニラビーンズ、カカオ豆の不足は深刻な問題です。世界中のパティシエがこの点を憂いています。原料の高騰、質の劣化、安定供給の難しさなどが現実のものとなる中で、われわれパティシエも行動しなければいけない。産地の環境を守り、生産者を守り、正当な価格での取引が行われて安定した供給や増産が可能になるよう、力を尽くしていかなければなりません」
同じことが、コーヒー豆の生産にもいえます。ネスプレッソの求める厳しい基準を満たして採用される豆は、世界中の生豆の総生産量のわずか数%。質の高さは守りたい、けれどそのために地球環境や生産者、地域社会に過度な負荷をかけていいはずがありません。
ネスプレッソは2020年までの達成を目指す、高い目標を掲げています。コーヒーに関しては、NGO団体と共同で立ち上げたサステイナビリティ達成のための独自プログラムに参加した生産者から「100%」コーヒー豆を調達すること。そして、地球環境に関しては、「100%」CO2排出量の削減を目指すことです。

2003年、ネスプレッソはNGO団体「レインフォレスト・アライアンス」と共同で、「AAAサステイナブル・クオリティ(持続可能品質)™ プログラム」を立ち上げました。いまや12カ国のコーヒー農業従事者7万人が携わるプログラムです。具体的には――植樹をすること。市場価格より高いプレミアムな価格の設定。生産者への技術支援。必要な施設の建設のための共同出資プロジェクトの促進……などが実施されています。

一方で、ネスプレッソは、コーヒーを封じ込めるアルミニウムカプセルのリサイクルを積極的に進めています。2013年の時点で、使用済みのカプセルは全世界で75%がリサイクルされており、これをさらに推し進めることが目標です(日本では法規制の関係上、未実施)。また、CO2に関しては、企業として事業を行う上で生じる排出量を、森林農業プログラムによって実質的に相殺することで「100%カーボン・ニュートラル」を目指す姿勢を明確に打ち出しています。

「持続可能性」「地球環境」というと、とても崇高で大がかりな理念のように捉えられがちです。しかし実は、わたしたちが本当においしい1杯のコーヒーを飲む、その行為こそが初めの一歩。きちんと対価を払っておいしく味わうコーヒーが、地球の裏側で誰かを笑顔にし、そして地球を健康にするのだとしたら――それはとても素敵なことではないでしょうか。
1杯のコーヒーを巡る味覚の旅、いかがでしたか? ぜひみなさんも、いまの気分にぴったりな1杯を「ネスプレッソ」で味わってみてください。お好みのスイーツとともに!
佐藤浩一(さとう・ひろかず)
ハイアット リージェンシー 東京 ペストリー・ベーカー料理長。銀座「マキシム・ド・パリ」のパティシエとして勤務時代に、フランスの魅力に目覚める。10年間勤務したのち渡仏し、2000年のフランス「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」開業時よりスーシェフとして従事。フランスでは2度のコンクール入賞経験をもつ。スペシャリテはショコラを使ったガトーやマカロン。
●問い合わせ先/ネスプレッソ
www.nespresso.com