超軽量アイウエアの先駆けであり、ジンズのエントリーモデルとしても人気の「Rubber Modern Airframe」がデザインも新たにリニューアル。世界各国のデザインに触れてきた編集者の猪飼尚司さんが、新たなデザインに鋭き審美眼を向けました。
ブランドの根幹をなす定番・全128モデルをリデザインした「STANDARD」や、“眼鏡づくりの聖地”福井県鯖江市の眼鏡職人とコラボレーションした「meets Sabae」など、フォルムやパーツの細部に至るまでデザインを見直すことで、新たな価値をもつアイウエアを創造する、ジンズの革新的なデザインプロジェクト「JINS DESIGN LAB.」。
今回、プロジェクトが手がけたのは、多くのジンズユーザーがエントリーモデルとして選択する人気の超軽量モデル「Rubber Modern Airframe」です。ブランドの代名詞的シリーズをあえてリデザインするということは、このプロジェクトによりブランド全体のデザインの質を向上しようという、ジンズの高い志の表れにほかなりません。
デザインを手がけたのは、ジンズのデザインチームと、シンプルでタイムレスな魅力をもつ作品で好評を博す、プロダクトデザイナーの角田陽太さん。今回のリデザインでカギとなるのは、「見せないデザイン」というキーワード。その秘密と、生まれ変わった「Rubber Modern Airframe」の魅力に、デザイン分野で活躍するフリーランス編集者の猪飼尚司さんが迫りました。
デザインの専門家が納得する、“見せないデザイン”の快適さ。

自身も長年にわたる眼鏡ユーザーであり、また、編集者やライターとしてデザイン分野で腕をふるう猪飼さんだけに、眼鏡に対する視点も独特です。
「数あるプロダクトのなかでも、眼鏡は見たり購入するたびに新しい発見が多いプロダクトだと思います。デザインやパーツ、そして製造工程のすべてがきわめて細部にまでこだわりつくられていて、そうしたつくり手の強いこだわりやプライドがユーザーの琴線をくすぐるのだと思う。たとえばこの『Rubber Modern Airframe』に採用された素材の『TR-90』は、超軽量でいて医療器具にも使用される安全性の高い素材とのことですが、そんな新素材の採用や新たな機能、機構の開発など、ミニマルにして多くの可能性を秘めたプロダクトですよね」

今回のリデザインにあたり、デザインチームが目指したのは「眼鏡らしさ」だったといいます。従来モデルではテンプル内側をシェイプし薄くするなど、その軽さを主張していましたが、今回はそうした誇張を一切封印。フロントやテンプルのラインもシンプルでスマートなフォルムへと刷新されるなど、奇をてらわない、まさしく眼鏡らしいデザインとなっています。
「つまりは、TR-90という素材自体が超軽量であり、あえてデザインで軽さを主張しなくてもいい。かけたらわかるという絶対的な自信の表れですよね。より眼鏡らしいデザインになったことで、多くの方に手にとってもらえる。結果として、その軽さやかけ心地のよさという『Rubber Modern Airframe』の魅力を、より広くユーザーに訴求できると思います」と、猪飼さんは今回のリデザインの目的を的確に分析します。

より眼鏡らしく普遍的なカタチへとリデザインされた「Rubber Modern Airframe」に、猪飼さんはあるプロダクトとの共通点を見出しました。
「スウェーデンの『スクルーフ』というブランドの、ベルマンというシリーズにラインアップされているウォーターグラスです。ガラス製品にはどうしても、割れる、脆い、という印象を抱くものですが、このグラスは最初に手にした瞬間から、何年も使い続けているような安心感や馴染み感を覚えました。デザイナーのインゲヤード・ローマンは、常に『自分が使いたくなるものかどうか』を重視してデザインしています。これは、これみよがしなデザイン的主張をせずとも、手に取ればその軽さやかけ心地のよさがわかる、『Rubber Modern Airframe』のリデザインの考え方と同様のもの。そして、そのためにシンプルなフォルムの中に、さまざまな心地よさの仕掛けや工夫が潜んでいる。そうしたカタチに現れない、いわば“見せないデザイン”が双方のプロダクトの共通点であり、いちばんの魅力であると思います」

最後に、眼鏡ユーザーである猪飼さんにリデザインされた「Rubber Modern Airframe」のかけ心地を試していただきました。
「かけ心地の以前に、持った時の衝撃が大きい(笑)。本当に軽いですね。また、フロントとテンプルの重量バランスを調整されたと伺いましたが、確かにかけ心地もいい。心地いいというよりも、かけていることを忘れてしまいそうです。また、テンプルエンドをユーザー自らが調整できるのも嬉しい。これはユーザーにとって大きなメリットですね。眼鏡らしいシンプルなデザインに快適なかけ心地。僕にとってのスクルーフのグラス同様、『Rubber Modern Airframe』も多くのユーザーにとって、TPOの概念を超えて常に使い続けられるプロダクトとなるのでしょう」。より眼鏡らしいスタイルへとリデザインされた「Rubber Modern Airframe」。“見せないデザイン”がもたらした快適なかけ心地は、数多の良質なプロダクトに触れてきた猪飼さんをも納得させるほど明白のようです。

ディテールに潜む、さりげないリデザインに注目。

これまでのモデルはその軽さを主張するため、テンプル中央の内側を薄くデザインしていましたが、誰もがかけやすいベーシックなデザインにすべく、テンプル全体を抑揚のないシンプルなラインへと修正。テンプルとフロントのフレーム厚を均一にすることで、よりスムーズで一体感のある眼鏡らしいデザインとなりました。また、このリデザインにより前後の重量バランスも改善され、かけ心地が向上。置いた時も美しく、端正な姿へと改善されました。

さらに、シャープな印象を与えるスクエアなシェイプから、ユニセックスな丸みを帯びたフォルムへと変更。かける人を選ばないことはもちろん、昨今トレンドとなっているラウンドやボストンタイプにも通じるソフトなフォルムが、通常のウエリントンタイプよりもやわらかで優しい印象を演出してくれます。スーツスタイルのビジネスシーンはもちろんのこと、カジュアルな装いのオフタイムでも活躍します。まさしく定番モデルらしいオールラウンドな玉型です。

「眼鏡を構成する要素をシンプルにする」というリデザインのテーマのもと、これまでは上から留める構造であった金属パーツの丁番を、下から留める構造へと変更。これにより、上からは丁番の存在が確認できなくなり、フロントからテンプルへのよりスムーズなライン取りが印象付けられることに。また、フロントとテンプルをつなぐ金属と、テンプルとラバーモダンをつなぐ金属に同一のパーツを採用。デザインの完成度を高めています。

従来モデルのテンプルエンドに存在していたキャップを廃止し、シームレスでスムーズなラバーモダンを採用。これにより、メガネらしいシンプルなテンプルエンドのデザインへと生まれ変わりました。一人ひとり異なる顔のかたちに合わせて自由に曲げられるモダンにより、フィット感も向上。超軽量素材とともに、完全に一体となったラバーモダンが耳裏へかかる必要以上のテンションを軽減し、長時間の使用にも快適なかけ心地を実現してくれます。
比類のない快適さを内包する、美しき“普通”のデザイン
快適なかけ心地はそのままに、より眼鏡らしく誰もがトライしやすいデザインへとリデザインされた「Rubber Modern Airframe」。いずれもベーシックなフォルムに快適なかけ心地を宿し、愛着をもって長く付き合える1本となりそうです。
●問い合わせ先/ジンズ TEL:0120-588-418(10時~17時 土日祝を除く) www.jins.com