デザイナー松井龍哉さんが語る、ロボットとコーヒーのある新しい日常。

  • 写真:岡村昌弘(CROSSOVER)
  • 文:土田貴宏
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今年3月にリニューアルしたスターバックスのチルドカップ商品「エスプレッソ」。その発売を記念したトークイベントが、ロボットデザイナーの松井龍哉さんを招いて福岡で開催されました。

日本を代表するロボットデザイナーであり、アメリカでもデビューした新作ロボット「パタン(Patin)」が話題になっている松井龍哉さん。日常の中に溶けこむように存在し、暮らしに豊かさをもたらすロボットに取り組んできた彼は、大のコーヒー好きでもあります。
今年3月、福岡のスタートアップカフェで開催されたトークイベントでは、新たにリニューアルしたスターバックスのチルドカップ商品「エスプレッソ」を手に、松井さんの手がけてきたデザインや、仕事とコーヒーの関係について話が盛り上がりました。

人に寄り添うロボット「パタン」が登場。

スターバックスのチルドカップ商品「エスプレッソ」をかたわらに置きながら、トークに臨む松井龍哉さん。

今回のトークイベントは、松井さんがこれまでに手がけてきたロボットの説明から始まりました。「ロボットというと、SF映画で描かれる未来世界を思い描く人が多いと思います。でも僕が目指しているのは、小津安二郎の映画のような日常の光景の中にロボットがある状態。あくまで生活の中で機能するロボットなんです」。結婚式の時に花を渡すフラワーガールをモチーフにデザインされた「ポージー(Posy)」や、ネットワークで情報を共有する小鳥型ロボット「ポリー(Polly)」など、いままで彼がデザインしたロボットが、いずれも親しみやすい姿をしているのはそのためです。

ロボットのイメージを革新するような、穏やかで優しい姿や動作を実現した2002年発表の「ポージー(Posy)」。

そんな松井さんの最新作が「パタン(Patin)」。今年1月には、ラスベガスで開催される世界最先端の家電やデジタル機器の展示会「CES」でも披露された話題作です。パタンとはフランス語でスケートのこと。床の上をスケートで滑るように静かに平行移動し、ユーザーに寄り添うようにして、さまざまな役目を果たすことが期待されています。トークの最中にも登場し、コーヒーを運ぶデモンストレーションが行われました。パタンは人工知能を搭載しているので、本を読む人の近くにランプを運んだり、朝になるとコーヒーを運んでくれたりと、さまざまに成長していく可能性を秘めています 」と松井さん。

トーク会場に登場してスターバックスのチルドカップ商品「エスプレッソ」を運ぶパタン。
パタンは家電、照明器具、花瓶など多様なものと結びつき、人工知能によって機能を発達させていく。

今回のトークで松井さんの相手役を務めたスターバックス コーヒー ジャパンのシニアプロジェクトマネージャー、鎌田滋之さんはこう語ります。「松井さんは、ロボットをモノとして考えるのではなく、人とコミュニケーションすることを大切にしているんですね。スターバックスのチルドカップも同じように、商品やさまざまな取り組みを通じて人と人がつながり合うことを大切にしているので、考え方が共通しているように感じました 」

新しいチルドカップコーヒー「エスプレッソ」を味わう。

パリで過ごした時期のコーヒーの思い出を語る松井龍哉さん(右)と、スターバックスコーヒージャパンの鎌田滋之さん(左)。

コーヒーが松井さんの生活に不可欠なものになったのは、20代後半に約3年間にわたりフランスで過ごした時期だったといいます。「住んでいたパリのアパルトマンの1階がカフェだったので、そこでエスプレッソに少しミルクを加えたノアゼットを飲むのが毎朝の習慣でした。スターバックスに初めて行ったのは、確か2000年代初めのロサンゼルス。UCLAの教授たちもよくスターバックスに集ってディスカッションしていましたね。その後、原宿の研究所に通っていた頃は、僕も仲間と一緒にスターバックスでコンピュータに向かって論文を書いたりしていました」

スターバックスコーヒージャパンの鎌田滋之さんは、松井さんがデザインしたものに以前からとても興味をもっていたという。

現在も、仕事に集中する時や、気分転換がしたくなった時、よくコーヒーを手にすると語る松井さん。オフィスの近くにもスターバックスがあり、立ち寄ることが多いそうです。では新しくなったスターバックスのチルドカップ商品「エスプレッソ」はどうでしょうか? 「最初のひと口で、エスプレッソらしさがぐっときますね。コーヒーの味わいが強いのが印象的です」

リニューアルしたスターバックスのチルドカップ「エスプレッソ」について、まずコーヒーの味わいからコメントを述べる松井龍哉さん。

スターバックスのチルドカップコーヒー「エスプレッソ」は、高温で豆を焙煎するイタリアンローストならではの力強いコーヒー感が特徴。今回のリニューアルによってレシピを見直したことで、さらに味に深みが増し、コーヒーとしての満足感が高まりました。同時にパッケージも一新されています。
「コーヒーの味のイメージと合っていて、店頭にあっても視認性の高い、よくできたデザインですね」と松井さん。このパッケージはシアトルにあるスターバックス本社のデザインチームによるもので、日本側とともに何度も検討を重ねて完成させました。コーヒーの豊かな味わいや、このブランドならではのクラフト感を連想させるもので、スターバックスの世界観が表現されています。

スターバックスのリニューアルしたチルドカップ商品、左から「カフェラテ」「エスプレッソ」「抹茶ラテ」。各¥216/すべてサントリーお客様相談センター

トークイベントが開催された福岡は、ロボット開発・実証実験特区に認定されている、日本を代表するロボット産業の拠点です。イベントの最後に、松井さんは来場者にこう語りかけました。「最先端の技術の開拓はすばらしいことですが、気持ちを豊かにしてくれるコーヒーのように、生活の中に入っていくロボットをつくるのは我々の世代の役割。今日のような機会を通して、そんな豊かさを意識した新しいものを考えていきましょう」。スターバックスのチルドカップ商品「エスプレッソ」の味わいが、いつか松井さんのデザインにインスピレーションを与える日が来るかもしれません。

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TEL:0120-139-320 (9時~17時、土・日・祝は休)