トノウを活かす、細身の永久カレンダーと黒のカーボン

文:並木浩一 写真:宇田川淳

トノウ=樽型の腕時計といえば、現代の時計ファンの多くはフランクミュラーを真っ先に想い浮かべるだろう。名品「カサブランカ」の誕生から25年、その地位は揺るがない。 そもそも樽型ケースは、誕生を20世紀初頭まで遡る。流行は淘汰と選別を繰り返しながら変遷していくが、トノウは1990年代に天才時計師フランク・ミュラーの出世作で大脚光を浴びた。単なる平面的なデザインではなく「球体から切り出したような」と表現される、3次元曲線で構成された“トノウカーベックス”。ユークリッド幾何学を超越した造形は世界の腕時計コノシュアを虜にし、現在に至っている。 そして約四半世紀を経た今年、登場したモデルが「トノウ...

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