トノウを活かす、細身の永久カレンダーと黒のカーボン

  • 文:並木浩一
  • 写真:宇田川淳

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両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川淳

トノウを活かす、細身の永久カレンダーと黒のカーボン

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FRANCK MULLER
フランク ミュラー

トノウ=樽型の腕時計といえば、現代の時計ファンの多くはフランクミュラーを真っ先に想い浮かべるだろう。名品「カサブランカ」の誕生から25年、その地位は揺るがない。
そもそも樽型ケースは、誕生を20世紀初頭まで遡る。流行は淘汰と選別を繰り返しながら変遷していくが、トノウは1990年代に天才時計師フランク・ミュラーの出世作で大脚光を浴びた。単なる平面的なデザインではなく「球体から切り出したような」と表現される、3次元曲線で構成された“トノウカーベックス”。ユークリッド幾何学を超越した造形は世界の腕時計コノシュアを虜にし、現在に至っている。
そして約四半世紀を経た今年、登場したモデルが「トノウカーベックスパーペチュアルカレンダー 25th」。世界で25本だけの特別なモデル、そのフォルムのスペシャルさは見逃せない。縦横比3:2のスレンダーなプロポーションは、ブランド初期の2年間だけ製作された“2851”ケースそのもの。少量限定で再生産されるオリジナルシェイプのコレクションの中でも、複雑機構の永久カレンダーを組み込んだとびきりのレアモデルだ。アイコニックな“ビザン数字”のアワーマーカーも細身に仕立てた、最新のブルー文字盤バージョン。複雑でスタイリッシュ、知的で都会的な逸品は、目の肥えた腕時計ファンの心を射抜く。
返す刀で、天才のブランドはトノウシェイプをまったく別の味わいにも変奏する。その典型が「ヴァンガードカーボン」だ。ルーツが同じとは思えないほど鍛え上げられた「ヴァンガード」のプロポーションは、ただでさえ圧倒的に逞しい。そのボディを漆黒のカーボンで設えたモデルは存在感たっぷりに、しかも時代の先を見越した疾走感を伴う。トノウを極めた手練フランクミュラーは縦横無尽、変幻自在にその魅力を表現するのである。

  • ヴァンガード カーボン

    自動巻き、カーボン、ケースサイズ44.0㎜×53.7㎜、ブラック文字盤×ブラックのアラビア数字アワーマーカー、日付表示、フリンジに45度刻みの方位・60度刻みの方位角を表示、ファブリック×ラバーストラップ、日常生活防水。¥1,760,000(税込)

  • トノウ カーベックス パーペチュアルカレンダー 25th

    自動巻き、パーペチュアルカレンダー、ケースサイズ30.0㎜×45.0㎜(“2851”ケースの再製作)、18Kイエローゴールド、パワーリザーブ約42時間、ブルー文字盤、クロコダイル革ストラップ、日常生活防水、25本限定。¥6,160,000(税込)

フランクミュラーウォッチランド東京 TEL:03-3549-1949