音楽評論家・田中宗一郎が「ジョン・レノンの矛盾、多角性がわかる」と選んだ一曲。

文:梶原博子

音楽評論家の田中宗一郎が編集長を務めていた雑誌『snoozer』で2009年にビートルズを特集した際には、全楽曲を白紙から採点するという大胆な企画で話題を集めた。そんな田中にとってジョン・レノンは、多感な10代のロールモデルだったと語る。 「ジョン・レノンの魅力に取り憑かれたのは、ビートルズ初期の彼の声でしたね。怒りも悲しみも滲ませているけれども、それがどれだけ暴力的な叫びになった時でも喜びに満ちあふれているんですね。それが人として目指すなにかなんじゃないかっていうのを10代の頃に感じた。その後、彼がビートルズを解散させて、これまでの自分自身を否定したレコード『ジョンの魂』や『プラス...

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