第4話 完璧な人工知能だけが、時代の最先端とは限らない。ー新米で仕込んだ生まれたての新酒ー

「すみません、なんとおっしゃったのかわかりません」。僕がSiriからよく言われるセリフである。いつだって完璧な解決へ導こうとするSiriは、ほどよく雑な僕の会話の面白さをまだ理解してくれていないらしい。 最近、人工知能(AI)技術の進化スピードがすごいと言われているが、そのどれもが効率を追い求めるためのプログラムに過ぎない。僕が求めているのは、休日にドラ焼きを食べながらヒマそうに引き出しを開け、「さて、どの時代に行こうか」と、唐突な提案を押し付けてくる、ほどよく雑な感じのAIなのだ。想像してほしい。のび太が「人生について悩んでいる」と珍しく哲学的な悩みを問いかけても、仮にSiriなら...

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