フォーマルライクな衣装に身を包んだ「ドルーグ」を象徴する、純白のサスペンダー

映画『時計じかけのオレンジ』で描かれた傍若無人な「ドルーグ」たちのスタイルを仔細に見ていくと、彼らはきわめて英国的な、しかも紳士的なアイテムを着こなしていることがわかる。それらを身に着けることは、この映画のもつ風刺的な側面を逆に際立たせる役目もあるが、このサスペンダーもそんなアイテムのひとつだ。 英国のファッション評論家ポール・キアーズによれば、20世紀初頭まで、英国の正式なパンツ(英国式にはトラウザーズ)にはベルト通しが付いていることはまずなかったという。つまりほとんどの男性がサスペンダー(英国式にはブレイシーズ)でパンツを吊っていたことがわかる。いまでも英国の伝統的なメンズショッ...

続きを読む