なぜ被害者は犯人に協力したのか?「ストックホルム症候群」の語源となった事件を描く映画『ストックホルム・ケース』

文:細谷美香

誘拐事件などの被害者が犯人と長い時間を過ごすうちに、心理的なつながりを感じるようになる「ストックホルム症候群」。11月6日(金)に日本公開される映画『ストックホルム・ケース』は、その語源となった“スウェーデン史上最も有名な銀行強盗”を題材にしています。 ロバート・バドロー監督は、この1973年に起こった「ノルマルム広場強盗事件」を知り、「まさに“小説よりも奇なり”という事実に惹かれた」ことで、ニューヨーカーの記事を皮切りにさまざまなリサーチを重ねたと語ります。 「それぞれのキャラクターと人間たちの関係性にもすごく惹かれました。また、当時のスカンジナビアのユートピア的な空気が、暴力に...

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