“ほぼ完璧”なポップアルバム『見っけ』が示す、国民的ロックバンド「スピッツ」の現在地点。

文:赤坂英人

いまや世代を超えた国民的なロック・バンドといっていいスピッツが、約3年ぶりに発表した16枚目のオリジナルアルバムである『見っけ』。それは、ファンの間では最高傑作だという評判すらある、ほぼ完璧なポップアルバムだ。ノリのいいバンド・サウンドを聞かせるオープニング曲の「見っけ」から始まり、NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』の主題歌である「優しいあの子」、「別れ」を暗示するボーカルの草野マサムネののびやかな声が魅力的な「ありがとさん」、ノスタルジーを裏返すような疾走感を感じさせる「ラジオデイズ」と、たたみかけるようなイントロの数曲で、早くも聴く者のハートをしっかりと捉えてしまう。 ラストの...

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