境界線上に身を置き、自分が感じた現代を書く。

文:新谷洋子

昨今大きな話題となるルポルタージュには彼の名前が記されていることに、多くの人が気付き始めたのではないかと思う。『ニューズウィーク日本版』の「進撃のYahoo!」「『夜の街』のリアル」といった巻頭記事や、「自粛警察」の正体に迫った『文藝春秋』でのリポート。昨年週刊誌で発表し賞を受けた取材記事を基に大幅加筆し、6月に上梓した『ルポ百田尚樹現象』。これらはノンフィクションライター、石戸諭の仕事だ。その時々に人々が関心を抱いていることをていねいに拾い上げる彼は、「結局“いまを描く”ことに執着があるんだろう」と自身を見ている。 「特にここ数年、自分が感じている現代をしっかり書きたいという思いが...

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