サンプリングの鬼才アヴァランチーズが放つ、 宇宙の深淵を感じさせる話題作。

文:山澤健治(エディター/音楽ジャーナリスト)

【Penが選んだ、今月の音楽】 ポピュラー音楽の歴史上、名盤と呼ばれる作品は数多く存在するが、型破りという観点でいえば、アヴァランチーズのデビュー作『シンス・アイ・レフト・ユー』を超える名盤は稀有だろう。世界中でロングヒットを記録したこの作品は、古今東西の3、500枚以上のレコードから900以上の曲をサンプリング&コラージュしてつくり上げたもの。まさにサンプリングの可能性を世界に知らしめた驚愕の1枚だった。 そんな彼らのデビューから20年の時を経て、新作『ウィ・ウィル・オールウェイズ・ラヴ・ユー』が届けられた。20年で3作目という寡作ぶりには目をつぶるとして、ヒップホップからラ...

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