西南戦争、水俣裁判、米騒動……国道3号線を軸に見る九州の「困難」。

文:新木安利(元福岡県築上町図書館司書)

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】 九州は「なぜこうなのか」と著者は問いを発している。そして九州の西を縦貫する国道3号線に沿って、南から鹿児島、水俣、柳川、中間、門司と北上し、民衆の抵抗の歴史を掘り起こす。西南戦争、水俣病事件、サークル村、筑豊炭鉱、米騒動……。そこは移民の街である。なぜ移民するか。 人間は腹が減る動物であり、戦前人口が増えると農家の二男三男は町に出て企業に就職するか、炭鉱や軍隊に行くか、満州などの植民地に行くかしかなかった。戦後引き揚げてきても、村より町に住み着いた。朝鮮戦争特需から高度成長へと移り変わり、町にはパンとサーカスがあったから。 しかし、金目...

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