とんでもない「嘘」に圧倒される、 爆発的ヒットの中国SF小説『三体』の魅力に迫る。

「中国にとんでもないSF小説がある」という話は、随分前から耳にしていた。「三体問題」(3つ以上の天体が万有引力によって相互に干渉し合うと、運動の予測が難しくなる現象)を扱った本格SFでありながら、三部作で累計2000万部以上売れているという話だった。中国系アメリカ人作家のケン・リュウが翻訳した英語版も大ヒットしたという。そして今年7月、第一作の日本語訳が出るとすぐに重版がかかり、海外SFとしては異例である10万部超えのヒットとなっている。 物語は文化大革命の時代から始まる。物理学者の葉哲泰は「反動的学説」である相対性理論や量子力学を否定しなかったとして、紅衛兵たちに処刑される。彼の娘...

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