死体とのバディムービーに続き、気鋭の監督が贈る“変態映画”。

アラバマの片田舎で、夕暮れ時にバンドマンの男たちが練習を終えた後、ひとりが合言葉のようにこうつぶやく。「ゲス野郎ども、ハメを外そうぜ(get weird)」と。そのバカ騒ぎの後、あることが原因でメンバーのひとりが命を落としてしまい、事件の捜査が始まる──。 この「weird=変なこと」を欲し、追い求める欲望こそが、監督ダニエル・シャイナートの原動力だ。初長編映画『スイス・アーミー・マン』では、無人島で死体とサバイバル生活を送る主人公の視点と「変人」扱いする周囲の視点を交錯させつつ、死体と戯れるその変態性こそが、彼を孤独と絶望から救った唯一の拠り所であることをエモーショナルに感得させた。...

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