‟平成”生まれの若者たちを描く朝井リョウの最新作。

生きがいを問われて、明快に答えられる人は少ないだろう。仕事はしているけれど、自分の使命だと思えるほどではない。暮らしの中に楽しみはあるけれど、とてもささやかなものだ。 主人公の南水智也は、重度の脳挫傷による植物状態が続いている。智也の幼なじみ、堀北雄介は病院に毎日のように見舞いに訪れ、病室では毎回、小学生時代に一緒に歌っていたという海外アニメの主題歌を流す。 平成に生まれて、小学校から大学まで友情が続いたふたりと関わりのあった5人の人物が、それぞれの立場から智也と雄介の様子を語る。体格がよく勉強もできる雄介は、昔から自分勝手なところがあったが、智也は、なぜか雄介から離れようとしなか...

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