AIは親友になり得るか? カズオ・イシグロの静かな問い

文:今泉愛子

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】 カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞後初の長編、舞台は近未来。子どもたちは自宅学習が基本で友達と触れ合う機会が少なく、人間の形をしたAF(人工的な友達)をもつのが一般的だ。病弱な少女、ジョジーが選んだAFのクララは観察力に優れ、人の心を読み解いてジョジーと母親やボーイフレンドとの関係がうまくいくよう尽くす。対照的に利己的で疑い深い人間たちは、クララをどう扱うのか。結局クララを支えたのは、太陽への信仰だった。心とはなにか、考えさせられる。 【関連記事】 イアン・マキューアン最新長編『恋するアダム』は、AIと2人の人間の三角関係。 ...

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