日本で最も恐れられる、「文春砲」が生まれた舞台裏『2016年の週刊文春』。

文:今泉愛子

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】 雑誌『週刊文春』は、いかにして「文春砲」を放つようになったのか。かつて編集部に在籍し、歴代の名物編集長、花田紀凱と新谷学の仕事ぶりを身近で見てきたノンフィクションライターの著者は、関係者への丹念な取材を基に、詳細をリポートする。 創刊は、1959年に遡る。先んじて1956年に創刊した『週刊新潮』の部数をようやく上回ったのは、花田が編集長を務めていた88年のことだった。当時、週刊誌は既に新聞社の社会部以上の取材力を備えていた。生命保険目当てに妻を殺害したと疑われ、世間を騒がせたロス疑惑を、84年に「疑惑の銃弾」というタイトルで真っ先に記事に...

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