晩年を迎えた暗黒街のドンが悪夢と現実の間をさまよう映画『カポネ』。

文:細谷美香

【Penが選んだ、今月の観るべき1本】 長い服役生活を終えて家族や友人たちと隠遁生活を送っている、かつての暗黒街の顔役、アル・カポネ(1899-1947)。梅毒による認知症を患っていたが、隠し財産を疑うFBIに監視され続けていた。幻覚と現実の間をさまようカポネの脳内をイマジネーション豊かな映像で表現し、伝説の男の晩年を描く。奇行を繰り返しながら死の影を纏っていくカポネを、トム・ハーディが鬼気迫る様相で演じきった。 役所広司の名演技に引き込まれ胸かきむしる傑作『すばらしき世界』。 神の子の光と影を映し出す『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』。 伝説の映画『...

続きを読む